世界が注目する新進のショコラトリー
- 東京・自由が丘にある行列のできるチョコレート専門店、マジドゥショコラ。店内には、シングルオリジンのチョコレートバーや焼き菓子、チョコレートケーキが並び、ガラス越しにチョコレート工房の様子が見えます。
- オーナーシェフの松室さんは、10年以上ビーントゥバーの工房で経験を積み、マジドゥショコラを2016年オープン。インターナショナルチョコレートアワードでは常連の受賞者でもある、才能あふれるショコラティエです。
- 松室さんがこだわるのは、チョコレートの原材料である「カカオ豆」。ビーントゥバーのスタイルが定着して、カカオ豆の原産国による味の違いが楽しめるようになりましたが、松室さんはさらに、同じ国でも地方や農園による味の違いを追求。「カカオ豆は繊細な生鮮食品なんです」と言います。
- 「ファイン・カカオ」と呼ばれる品質のよいカカオ豆を作るには、「発酵」という工程を丁寧に行うことが重要です。カラフルなラグビーボールのようなカカオ豆を割ると、パルプと呼ばれる白い果肉があり、その中に入っている20~40個の種子が、カカオ豆です。
- フレッシュなカカオ豆は、渋柿のようにまったく甘みがなく大変に渋いそうですが、発酵させることによって、カカオの香りが引き出されます。その味わいの違いは、同じ国の同じエリアでも農園ごとに異なるそう。また、発酵のあとの乾燥の工程で、カラッと晴れているか、雨の日があったかによっても、カカオ豆の仕上がりが変わります。
- 「うちの商品の一番の特長は、そのときそのときのカカオ豆の味を、最大限に引き出したお菓子作りです」と松室さん。チョコレート通のお客様から「前のペルー63が好きだったんだけど、今のペルー63と味がちがうね」と言われることもあるそうですが、それも含めて、年や季節で異なるカカオ豆の味わいを楽しんでもらえたら、と言います。
- ポリフェノールが豊富で健康にもよいと評判のカカオ豆。お店ではチョコレート菓子だけでなく、カカオ豆のパルプを絞ってスムージーにしたカカオジュースが飲めるなど、カカオ農園と太いパイプでつながっているお店だからこそ実現できる、貴重なカカオ製品をいただくこともできます。
- 「農園で働く子どもたちも含め、チョコレートづくりに関わる人たちみんなが笑顔になれたら、できあがったチョコレートは、きっと食べる人を笑顔にするはず」と松室さん。日本発のチョコレートの新潮流が、ここから生まれそうです。