社葬を行う流れとポイントとお返しについても解説

イラスト:社葬、合同葬、準社葬それぞれの流れを図解

社葬とは、会社が主体となって執り行う葬儀のことで、喪家が主体となって行う葬儀と別に行うケースや、喪家と合同で行うケースがあります。主な形態や、香典の取り扱いなど、社葬にまつわる基礎知識をおさえておきましょう。

社葬とは? おさえておきたい3つの形態

社葬とは、会社が主体となって執り行う葬儀のことで、形態によって以下の3つのパターンが考えられます。

①密葬の後に、社葬を行う

通夜と密葬(ごく近しい親類・友人のみで行う葬儀)までは近親者が主体で行います。その際、役員や重要な取引先を参列者に加えることもあります。密葬から1カ月程度(繁忙期や決算時期を外した1週間〜2カ月)の準備期間を経てから、会社主体で全費用を負担した社葬(本葬)を行います。社葬のなかで最も多いパターンです。

密葬の際の供花・香典は、ご遺族の意向で受領・辞退を決めます。その後に行われる社葬での供花・香典は、詳細は後述しますが辞退するのが主流です。

②合同葬

通夜・葬儀・告別式を、喪家と会社が合同で執り行います。費用は分担とし、その割合や担当項目は話し合いで決められますが、一般的には葬儀そのものや告知は会社側、納棺や香典返しといった個人的要素の強い項目は喪家とすることが多いようです。
また、各団体と会社が合同で行う社葬も、合同葬と呼ばれます。

③準社葬

一部の費用を会社が負担し、実務面では喪家のお手伝いのような立ち位置で動きます。基本的には喪家が喪主・施主を担うため、供花・香典は、ご遺族の意向で受領・辞退を決めます。準社葬も合同葬のひとつと捉えることができます。

社葬の意義

社葬は大企業が執り行うイメージがありますが、中小企業・自営業でも行われる形式です。社葬を行うことは、故人への追悼の意を示すことに加え、以下のような意義があります。

  • 故人が成した会社への大きな貢献に対して、社内外に感謝を表明する
  • 関係各所に後継者や新たな組織体制を告知し、事業承継などに問題のないことを示す
  • 準備を通して従業員の意思を統一し、社内の結束力を高められる

社葬を執り行うケース

一般的に社葬が行なわれるのは、会社に多大な貢献をした方が亡くなった場合です。ただし、どんな方が対象となるのかは、会社の判断に委ねられています。そのため、詳細は会社ごとに異なりますが、主に以下のケースで社葬が行なわれます。

会社の根幹を担う人物が亡くなったとき

次のような会社の要職に就いていた方が対象となります。現職かそうでないか、在職期間、ご逝去時の状況などと、社葬取扱規程とを合わせて総合的に判断されます。

  • 会社のオーナー、創業者、会長、社長
  • 副社長、専務、常務などの役員
  • 取締役や監査役、顧問、相談役

会社の発展に大きく貢献した現役社員が亡くなったとき

ヒット商品を生み出したり、開発が特許取得につながったりなど、類まれな貢献をした現役社員が対象です。社葬となることで、喪家は葬儀の費用と人的なサポートを受けられ、また、在籍社員へ会社の誠意が伝わり信頼感が高まることが期待できます。

業務中の事故や災害などが原因で亡くなったとき

就業中・出張中の事故や災害で亡くなった場合も、社葬が適用されることがあります。喪家への社会保障の一環であるほか、会社として不幸が防げなかったことへの謝罪を正式に表明する意味もあります。

社葬の事前準備

冒頭で述べたように、社葬には複数のパターンがあります。そのため社葬の工程も変わってきますが、ここからは「①密葬の後、社葬(狭義)」の場合の大まかな流れをみていきましょう。

流れ① 遺族への挨拶

社葬の主体は会社ですが、喪家のご意向が最も大切です。逝去後、なるべく早く喪家へ挨拶し、社葬を執り行いたい旨を説明します。喪家の意向を確かめて合意が得られたら、詳細な内容を詰めていきます。

流れ② 家族葬・火葬

喪家、近しい親せき、友人などで、密葬および火葬を済ませます。会社側は喪家からの要望に沿うかたちでサポートします。

流れ③ 社葬の内容を決める

葬儀社と打ち合わせして、社葬の内容を決めていきます。規模、宗教宗派、式場、日程、形式、返礼品(お返し)など、決めるべきことは多岐にわたります。

  1. 宗教宗派
  2. 形式
  3. 日程
  4. 会場
  5. 祭壇
  6. 返礼品(お返し)など

流れ④ 社内で役割分担を決める

葬儀社との打ち合わせ(流れ③)と平行して、社内の役割分担を決めます。密葬において会社はサポートにまわるため、ここでの役割分担とは主に社葬(本葬)時のものです。社葬(本葬)では、喪主を喪家の代表者が、施主を葬儀委員長が担います。

葬儀委員会を設置し、役員クラスのなかから葬儀委員長を選出します。大きな会社では葬儀委員長とは別に、社員を中心とした葬儀委員を設置することもあります。

流れ⑤ 案内を送付

社葬の内容が決定したら、社内外へ案内状を送付します。社葬(本葬)では香典や供花は辞退するのが主流です。辞退するとなったら、その旨を案内状にも記載します。その上で、もしも香典や供花が届いた場合の対応も委員会で検討しておきます。

流れ⑥ 社葬当日

当日には全体的な打ち合わせ、係ごとの打ち合わせを行い、会場内外の導線・受付等の最終確認を行います。葬儀が始まったら、事前に取り決めた式次第に沿って進めます。

社葬の香典・香典返しのマナー

社葬では香典を辞退するケースが一般的

社葬では香典を辞退するケースが一般的です。通常、個人の葬儀では香典は課税対象ではありませんが、社葬で会社として香典を受け取って経理処理すると課税対象(雑収入)となります。また、会社の経理を通した上で喪家に香典を渡すと、退職金扱いとして、こちらも課税対象となる可能性があるため、注意が必要です。

上記の理由から、社葬では香典に代えて献花が贈られることが多いのですが、もしも香典をお持ちになった方がいる場合には、社員が受付で受け取りのみを行い、葬儀後に喪家に取り次ぐと決めておくとよいでしょう。

社葬で受領した香典や、香典返しのマナーについては、こちらの記事が参考になります。

社葬で香典を受け取ったら? 香典返しは遺族が行うもの

社葬(本葬)では香典を辞退するのが一般的ですが、それでも香典をお持ちになる方はいらっしゃい
ます。また、社葬(本葬)の前に行なう喪家主体の密葬や、合同で執り行う「合同葬」、および、一
部の費用負担とサポートを会社が担う「準社葬」においては、香典の受領・辞退は喪家の意向で決ま
ります。
いずれの場合も、基本的に香典は喪家が受け取るものであるため、香典返しも喪家が手配します。社
葬には幅広い年齢・立場の方がいらっしゃいますから、香典返しにはカタログギフトなどの、どなた
にも合わせられる品を活用するとよいでしょう。

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