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この記事を監修した人
神尾 里恵子
都内大手百貨店で、リビング商品の販売や仕入れを約20年、ギフトバイヤーとして20年の勤務を経験。
ブライダルフェアやギフトサロンでも、直接お客様のご相談を受けてきた経験も多数あり。現在は培ってきた実績を活かし、多様なシーンで心から喜ばれるギフトの選び方を提案している。
開発にたずさわった商品
御霊前と御仏前の違いは、葬儀に参列するからには必ず知っておきたいところです。四十九日の前か後か、また宗派の違いによっても異なります。
知らなかったからといって間違えてしまうと、失礼になってしまいます。どんな違いがあるのか、おさえておきましょう。
御霊前とは
はじめに御霊前の意味について説明します。御霊前とは、四十九日の法要までの霊魂に対して供えるときに使われている言葉のことです。亡くなった方の御霊の前、または御霊の前に供えるという意味であり、亡くなった故人の霊を敬う言葉として使われています。
御霊前は四十九日まで
仏教の世界では、死者は四十九日の間は中有界にとどまり、七日ごとに審判を受けます。四十九日目に極楽浄土に行けるかどうか審判を受けると言われています。
このような考え方から、御霊前はお亡くなりになられてから四十九日の法要を終えるまでの48日間使用できる言葉となっています。
また、仏教の世界での最終審判は七七日となっているため、七七日をもって忌明け、その間は忌中ということになります。そのため、書状には四十九日ではなく、七七忌と記載されます。
御仏前とは
御仏前とは、無事に成仏して仏様となった後の故人の前に供える言葉のことです。一周忌法要や新盆などの四十九日以降の法要では、「御仏前」を使うのが一般的となっています
御霊前と御仏前 の違い
御仏前と御霊前は似たような意味を持つ言葉ですが、使用するタイミングが異なります。御霊前は、亡くなってから仏となる前の故人へ向けて使用し、御仏前は無事に成仏し仏様となった後の故人へ向けて使います。
御霊前の使い分け
御霊前は、四十九日前に使う言葉であり、この期間を過ぎるまで故人は霊としてこの世に留まるといわれています。故人が亡くなってから忌明け法要前日までは、御霊前を使っても特に問題はありません。
御仏前の使い分け
御仏前は四十九日後に使う言葉として知られています。仏教では、故人が亡くなってから7日ごとに7回、成仏できるかを判断するための裁きが下されるといわれています。
つまり、7回目の裁きのときが四十九日の法要の日になります。そこで最後の裁きが下されることになっており、このタイミングで霊になった故人は仏様になることが許されて成仏するといわれているのです。
御霊前のマナー
御霊前を贈る場合は、事前に以下のマナーを押さえておきましょう。
御霊前の金額相場
御霊前の金額相場は、故人との関係性や年齢によって変わります。親戚の場合は1万〜10万円、近隣に住んでいる方や会社の同僚の場合は、5,000〜1万円が相場です。
香典袋の選び方や書き方・包み方についてはこちらの記事を参考にしてください。
御霊前の書き方
御霊前の表書きは「御霊前」と書くのが一般的です。水引の下段に名前をフルネームで書き入れますが、連名の場合は「孫一同」「(会社名)一同」などと書き入れましょう。会社の関係者が個人で用意する場合、会社名とフルネームにすることをおすすめします。このような形にすれば、名簿整理のときにわかりやすくなるからです。
香典袋に表書きを書くときは、薄墨を使用するのがマナーとなっています。薄墨を使用する理由は、悲しみの涙で墨が薄まってしまったことや、急な訃報で墨を十分に使って書く時間がなかったことを表現するためです。
ただし、地域によっては薄墨を使わないケースもあるため、事前に確認することをおすすめします。
葬儀用封筒(香典袋)の書き方・選び方についてはこちらの記事を参考にしてください。
御霊前の入れ方
御霊前は古札で用意するのが一般的です。新札しかない場合は、一度折り目をつけてからいれると良いでしょう。また、お札の向きを揃えて袋に入れるようにします。表面を向けて香典袋を開けた際にお札の裏(人物がいない方)が見えるように入れましょう。
判断が難しい場合、「御香典」という言葉を使うのが賢明だといえるでしょう。
御霊前は仏教以外の他宗教でも使える
神道の場合、御玉串料や御神前などを使いますが、御霊前でも問題ないとされています。またキリスト教の場合、一般的には御花料を使いますが、こちらも御霊前でも問題ないとされています。蓮の文様や水引がある場合は仏教用となっているので、注意しましょう。
宗教それぞれの「死生観」によるもの
御霊前が幅広い宗教で使えるのは、宗教それぞれで「死生観」が異なるためです。神道の場合、故人は亡くなったあと守り神(氏神)になるといわれており、成仏するという概念はありません。
50日間は霊の状態になるため、葬儀で渡す香典で御霊前を使っても問題はないとされています。
いずれにせよ、喪家の宗教宗派や地域によっても異なりますので、事前に確認したうえで表書きを選びましょう。
突然のお通夜などで宗教がわからない場合は、
- 仏教で宗派がわからない場合は御香典
- 真宗ではない場合は御霊前
を選ぶのがよいでしょう。
四十九日法要はどちらを使うべき?
四十九日法要では「御仏前」を使うのが一般的です。故人は四十九日までは「霊」の状態であり、四十九日法要で成仏して仏になると考えられています。
四十九日法要が繰り上げられた場合
四十九日法要の日程を繰り上げて、葬儀と同じ日に済ませることを「繰り上げ法要」といいます。「繰り上げ法要」では、初七日を葬儀と同時に実施したり、三月またぎや年末年始を避けるために五七日にしたりなど、さまざまな目的でおこなわれます。
日にちがずれた四十九日法要の場合も、「御仏前」を使用するのが一般的です。法要は忌明け前週の土日などに行われることが多いため、遅れないように香典の準備は早めにしておきましょう。