【最新版】福利厚生のメリット・デメリット。企業が力を入れる理由とおすすめの制度を紹介
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更新日: 2024.01.15 11:24公開日: 2022.04.01
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福利厚生制度とは?
福利厚生制度とは、雇用主である企業が、労働者である従業員に提供する「給与・賞与以外の報酬やサービス」の総称です。従業員及びその家族の生活の安定性を図り、かつ職場の環境を整備することで、従業員のパフォーマンスと満足度を向上させる効果が見込まれることから、多くの企業が導入・実施しています。
従業員にとっての福利厚生の充実は、その企業で安心して働けるかどうかを判断する重要な要素のひとつです。職場環境が整っていることはもちろん、生活や健康面での安定が図れれば、仕事に対するモチベーションやスキルも上がっていきます。ワークライフバランスに対する意識が高まっている今だからこそ、福利厚生についての意識も非常に高まっているのです。
また、企業にとっても福利厚生は重要な側面を持っています。社会からの信頼が高まり、人材確保に役立つ要素として大きな役割を担っているからです。福利厚生が充実することで、優秀な人材を確保・定着させることが期待できることから、近年は各企業ごとに工夫を凝らしたさまざまな福利厚生の充実・整備が進められています。
企業と従業員、双方の信頼関係を高めるために有効なのが「福利厚生」です。企業らしさを反映させつつ、従業員に「魅力的だ!」と思ってもらえるような制度を取り入れていきましょう。
法定福利厚生と法定外福利厚生の違い
福利厚生制度には二種類のものが存在します。法律で定められた「法定福利厚生」と、各企業が独自に導入する「法定外福利厚生」です。
法定福利厚生
「法定福利厚生」は企業に制定・実施が義務付けられている福利厚生のことです。企業と従業員との間で雇用関係が発生する場合必ず実施をしなければなりません。以下、6種類の社会保険料が対象となっていますが、他にも障害者雇用納付金、労働基準法に基づく災害補償の費用を企業が負担することも含まれています。
種類 | 内容 | 負担 | 適用法律 |
健康保険料 | 病気やケガ、出産、死亡した際の医療費・手当金の一部を負担する公的な医療保険料。 | 労使折半 | 健康保険法 |
介護保険料 | 介護が必要となった人が、少ない負担で介護サービスを受けられるようにするための給付金を支給する制度。40歳から64歳までの健康保険加入者が対象。 | 労使折半 | 健康保険法 |
厚生年金保険料 | 企業に勤務するすべての人に加入が義務づけられている、老後の生活のための支給金。65歳以降に支給される公的年金の一種。 | 労使折半 | 厚生年金保険法 |
雇用保険 | 会社を退職して失業した場合、失業手当の給付や就職支援、教育訓練講座など、雇用に関わるさまざま支援を受けることができる制度。 | 企業2/3 従業員1/3 |
労働保険の保険料の徴収等に関する法律 |
労災保険 | 業務中や通勤中に事故・災害で負ったケガに対して補償する保険料。業務に起因した病気や障害、死亡も対象。 | 企業全額負担 | 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 |
子ども・子育て拠出金 | 児童手当や仕事・子育て両立支援事業、子育て支援事業などに充てられている税金の一種。 | 企業全額負担 | 子ども・子育て支援法 |
法定外福利厚生
「法定外福利厚生制度」は企業が独自に選定・実施することのできる福利厚生のことです。法的義務がないため、どのような福利厚生が設けられているかは企業によって大きく異なります。下記は、代表的な法定外福利厚生の項目です。
種類 | 内容 |
通勤・住宅関連 | 通勤手当、ガソリン代補助、家賃補助、住宅ローン補助、社宅、寮など |
健康・医療関連 | 人間ドック費用補助、カウンセリング実施、スポーツ施設利用費補助など |
慶弔・災害関連 | 結婚・出産祝い金、傷病見舞金、弔慰金、災害見舞金、遺族年金など |
育児・介護関連 | 法定外対応としての育児・介護休暇の拡充、短時間勤務制度、託児所・保育所設置、男性社員の育児休暇取得推進など |
自己啓発関連 | 通信教育・資格取得に関する費用補助、書籍購入費補助、セミナーの開催など |
業務・職場環境関連 | 社内食堂・カフェの設置、在宅勤務制度など |
休暇関連 | アニバーサリー休暇、リフレッシュ休暇など |
財産形成関連 | 財形貯蓄、持株制度、各種年金保険制度など |
文化・体育・レクリエーション関連 | 運動・保養施設の割引サービス、社員旅行、懇親会援助、サークル活動費補助など |
福利厚生を導入して得られるメリット
従業員満足度の向上
適切な福利厚生の充実は、仕事におけるモチベーションを支えるだけでなく、プライベートでの安心感も与えてくれます。また、職場環境が整うことで業務の効率化が進み、ワークライフバランスの両立が可能になります。従業員の心身の満足度を大きく向上させてくれる重要なポイントです。
従業員の定着率の向上
福利厚生が充実しているということは、企業の意識が従業員に対して高く向けられているということ。従業員の満足度が高まるだけでなく、自らの働きが企業や組織の成長に貢献できているという自負心を高めることにもつながります。福利厚生を正しく活用することで、企業と従業員双方のエネルギーがよいベクトルに相互作用する、すなわち従業員エンゲージメントが向上し、従業員の定着率へと結実します。
また福利厚生制度が整っているということは、企業の経営基盤が安定しているということでもあります。企業への信頼性の向上にもつながり、従業員が安心しつつ誇りをもちながら働くことができることで、結果として従業員の定着率を高める効果が期待できるでしょう。
従業員が安心して働けるということは、企業に対しての信頼感が高いからに他なりません。優秀な従業員が定着すれば、企業の成長にもつながりますね。
採用活動に関するアピールになる
求職者にとって福利厚生の充実度合は、企業選びにおける重要な検討材料のひとつです。職務内容や労働条件と同じように、福利厚生の内容が企業選びを左右します。また、ユニークな福利厚生はその企業を印象付けるきっかけにもなり、採用活動におけるアドバンテージのひとつにもなります。注目されやすくなることで、優秀な人材を採用できる機会も増えるでしょう。
新卒採用が有利になる
マイナビによる「2022年卒内定者意識調査」によると、入社予定先企業を選択した際のポイントとして「福利厚生」を選んだ内定保有者は27.8%にのぼり、「安定している」(39.8%)「社風が良い・よさそう」(39.2%)に次いで多くの票を得ています。
新卒の学生が、福利厚生を非常に重要視していることから、彼らを惹きつけられる魅力ある福利厚生をどのようにアピールできるかが重要なポイントであるといえます。
節税効果に繋がる
福利厚生にかかる費用は、条件付きではあるものの非課税対象となっており、法定・法定外ともに非課税として扱われます。「福利厚生費」という勘定費目で計上することができれば、法人税への節税対策としても有効です。
福利厚生費として計上するには、下記の点に留意する必要があります。これらの要件を満たしていない場合、福利厚生費としての計上が認められない場合があるので、事前に十分確認するようにしておきましょう。
- すべての従業員を対象としている
- 社会通念上、常識と考えられる範囲の金額
社員の健康管理に繋がる
たとえば、福利厚生の充実によりスポーツジムの利用が促進されれば、従業員の健康が保たれるようになります。十分な休養と規則正しい生活をサポートすることで、業務効率もより上がりやすくなると見込まれます。
さらに大切なことは「メンタルヘルスのカウンセリング」「リラクゼーションサービス」といったメンタルケアに関連するサービスを充実させる点にあります。近年ニュースで取り上げられている過労死問題を未然に防ぐのはもちろん、労働環境が原因で引き起こされる「うつ病」についての対応としても、福利厚生の充実は有効性が高いといえるでしょう。
企業のイメージアップになる
年々高まってきている、福利厚生への注目度。福利厚生が充実しているということは、企業が安定した経営基盤を築いていることへの証明につながるからです。
福利厚生が手厚い企業は「従業員を大切にし、働く環境への配慮を怠らない企業」というよい印象を抱きやすいことから、企業のイメージアップにもつながるでしょう。
反対に、福利厚生を導入するデメリットは?
企業の費用負担が増える
福利厚生を充実させるには、当然のことながら費用がかかります。法定外福利厚生の内容にもよりますが、制度を導入するごとにコストがかかるため、資金に余裕のない企業で福利厚生を充実させるのは非常に厳しいと言わざるを得ません。
近年、少子高齢化のスピードに歯止めがかからないことから、法定福利厚生として定められている社会保険料は増加傾向にあります。これらは法律で実施が義務付けられているため、結果として企業の任意実施とされている法定外福利厚生へ費用をかけることができないケースがあるようです。
【2022年度】社会保険料率の改定タイミングは?
法定福利厚生に該当する各種社会保険。これらは種類により、保険料率の基準を国で一律にしているものと、自治体や組織ごとに分けているものとで大別されます。健康保険料率は「協会けんぽ」それぞれの都道府県によって異なりますし、厚生年金保険料率は国で統一されています。
各社会保険を確認すべきホームページと、確認方法についてご紹介します。
健康保険・介護保険・厚生年金保険の料率改定
2022年度の健康保険・介護保険の料率は、協会けんぽのホームページ「令和4年度都道府県単位保険料率」で確認することができます。
健康保険の料率は都道府県ごとに異なりますが、おおむね10%前後の値です。一方、介護保険の料率は全国一律で1.64%になります。
雇用保険の料率改定
2022年度の雇用保険の料率は、厚生労働省ホームページ「令和4年度の雇用保険料率のご案内」から確認できます。
雇用保険は健康保険などとは異なり、事業の種類によって保険料率が変わるため自社がどの保険料率に該当するか必ず確認する必要があります。
雇用保険料率は、すでに2022年10月に1.35%まで引き上げられることが決まっています。年度の途中で変更されることになりますので、保険料を算出する際には忘れずに反映するようにしましょう。
【2022年4月1日~2022年9月30日の雇用保険料率】
【2022年10月1日~2023年3月31日の雇用保険料率】
労災保険の料率改定
2022年度の労災保険の料率は、厚生労働省ホームページ「労災保険率表(平成30年度~)」から確認できます。022年度の料率は昨年度から変わっていませんが、料率は事業の種類によって異なるため、自社はどの事業に該当するのかを把握してから確認するようにしましょう。
全社員のニーズに応えられるとは限らない
従業員の満足度を高めるための福利厚生ではありますが、年代やライフスタイル、趣味嗜好などは千差万別。一人ひとりが多様なライフステージを過ごしているため、従業員の多様性(ダイバーシティ)に考慮した福利厚生制度が求められます。従業員への事前のヒアリングや、導入の目的を明確にしておくことが重要です。また、利用状況などを定期的にリサーチし、制度をブラッシュアップし続ける努力も必要です。
「リンベル for BUSINESS」ならあらゆるシーンに対応可能
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導入に関するデメリットを解消する方法は?
先に福利厚生導入に関するデメリットをご紹介しましたが、こうしたデメリットを解消しつつ、それぞれの企業に合わせたスタイルの福利厚生を充実させることができるプランがあります。それが、福利厚生代行サービス企業が提供する「パッケージプラン」の活用です。
パッケージプランの活用
福利厚生代行サービス企業が母体となることで、提供サービスの多様化・低価格化・業務委託を実現しているのが「パッケージプラン」です。月額定額料金は従業員ひとり当たり数百円と非常にリーズナブルで、申請や利用に伴う管理負担もありません。また、サービス内容も充実しているため、従業員のニーズも反映しやすくなっています。固定されたプランとはなりますが、その分すぐに導入することが可能です。
自社で準備して導入
この場合、担当者による手続きや手配、管理体制を作る必要があります。また、担当者自身が法定福利厚生と法定外福利厚生について理解しておく必要があるため、導入までに時間がかかります。
ですが自社にとって本当に必要なサービスをピックアップしやすく、手数料など諸経費もかからないため、最もコストパフォーマンスが高いのがメリットです。また「昼食補助」「カフェスペースの導入」「フレックスタイム制の導入」などは比較的手軽に導入できます。
コロナ以後の福利厚生の最新トレンドをチェック
株式会社OKANが実施した「withコロナで変化する「働くこと」に関する調査」に興味深いデータが掲載されています。
性別・年代を問わず、求められている福利厚生1位は「特別休暇」(全体の75%)、2位は「慶弔支援」(全体の62%)、3位は「子育て支援」や「ファミリーサポート」といった家族に関するものであることがわかります。
コロナ禍の影響で家族と過ごす時間が増えたことを受け、より生活に根ざした支援を求める従業員の価値観の変化が反映していることがうかがえます。こうした流れも考慮に入れた上で、福利厚生のトレンドを捉えていく必要があるでしょう。
福利厚生の内容は、時代の変化とともに少しずつ変化していきます。従業員が何を求めているのか、彼らに何が必要なのかをしっかり捉え、本当に必要とされている福利厚生を選択していけるようにしましょう。
福利厚生のトレンドは、費用増減の内容で読み解くことができます。まず、法定外福利厚生を構成している大項目8項目を、2019年度の費用と割合でみていきましょう。
- 住宅関連:11,639円(48.2%)
- 医療・健康:3,187円(13.2%)
- ライフサポート:5,505円(22.8%)
- 慶弔関係:514円(2.1%)
- 文化・体育・レクリエーション:2,069円(8.6%)
- 共済会:272円(1.1%)
- 福利厚生代行サービス費:309円(1.3%)
- その他:629円(2.7%)
住宅関連がほぼ半数の割合を占めているのがわかります。さらにライフサポートと医療・健康の大項目を合わせると、全体の85%近くを占めています。これらをはじめとした大項目を、それぞれの小項目を交えながらみていきましょう。すべて1999年からのデータです。
住宅関連:減少傾向
住宅関連の福利厚生費用は過去20年間減少し続けています。1999年度は15,449円でしたが、2009年度は12,654円、2019年度は11,639円と20年間で3,315円の減少です。小項目の「住宅」は社有や借り上げ社宅及び独身寮を、「持家援助」は利子補給の費用や転勤者の持家管理費用を指します。
コロナ禍の影響により在宅ワークについての認知度が高まってきた昨今、これからは従業員が労働のために大都市圏に出てくる必要性が低くなると見込まれます。そのため、企業がハコモノの福利厚生施設を保有する必要性も低くなり、かつ持家より賃貸に住み続けるという選択肢が増えてくる可能性も高いと思われます。こうした潮流に鑑み、住宅関連の福利厚生費用は今後も減少していくだろうと考えられます。
医療・健康:増加傾向
一方で、医療・健康の福利厚生費用は過去20年で増加傾向にあります。1999年度は2,058円でしたが、2009年度は2,989円、2019年度は3,187円と20年間で1,129円の増加です。増減の差が激しい「医療・保健衛生施設運営」は人件費を含めた病院や診療所などの施設管理・運営費用を、増加が著しい「ヘルスケアサポート」は健康診断や人間ドックの費用・診療・入院費の補助などを指します。
割合としては「医療・保健衛生施設運営」が「ヘルスサポートケア」を上回っていますが、1999年度の比率が75:25であるのに対し、2019年度は63:37と大きく縮まり、ヘルスサポートケアにシフトされてきていることがわかります。前者は利用の有無に関わらず費用がかかるのに対し、後者は必要なときに必要な補助ができることが大きな強みです。すなわち、ハコモノから補助費用へ比重が移行していることがわかります。
この流れは今後も変わらないとみられ、医療・健康の福利厚生費用はヘルスサポートケアの拡大が重要視されていくでしょう。
ライフサポート:内容が変化
ライフサポートの福利厚生費用は、大項目としてみるととくに大きな変化はありません。ですが、小項目でみるとトレンドを反映していることがよくわかります。ライフサポートは下記10の小項目から成り立っているので、グラフをふたつに分けてみていきましょう。
- 給食 2,829円(48.2%)→1,729円(31.4%):減少
- 購買・ショッピング 298円(5.1%)→198円(3.6%):減少
- 被服 468円(8.0%)→433円(7.8%):横ばい
- 保険 620円(10.6%)→763円(13.9%):増加
- 介護 1999年度なし→27円(0.5%):新規
- 育児関連 26円(0.4%)→428円(7.8%):増加
- ファミリーサポート 112円(1.9%)→246円(4.5%):増加
- 財産形成 989円(16.8%)→1,010円(18.3%):横ばい
- 通勤バス・駐車場 435円(7.4%)→566円(10.3%):増加
- その他 95円(1.6%)→105円(1.9%):横ばい
注目したいのが、1999年度にはなかった「介護」が新しく増えた点と、大きく増加した「育児関連」の費用です。家庭と仕事をしっかり両立したい従業員が増えていること、ワークライフバランスを支援する福利厚生費用がいかに重要視されているかがわかります。企業による介護と育児に関する支援は、今後も求職者から求められ続ける重要な福利厚生であるといえるでしょう。
慶弔関係:減少傾向
慶弔関係の福利厚生費は過去20年減少傾向にあります。とくに小項目「慶弔金」は2003年度をピークに著しく下降しており、この傾向が続くと見込まれます。反面、今後は在宅勤務補助やリモートワーク環境設備補助といった、テレワークを充実させる時代に求められた手当が増加していくことが予測されます。
文化・体育・レクリエーション:活動補助費が増加
文化・体育・レクリエーション全体の福利厚生費は、過去20年とくに変わっていませんが、内訳に大きな変化が生じています。小項目「施設・運営」が大きく下がり、「活動への補助」が飛躍しました。2010年度を境に割合が逆転していることから、ハコモノから補助費用へ比重が移っている傾向にあるといえます。このような傾向は、医療・健康と同じトレンドです。
このことから、最近の福利厚生のトレンドは福利厚生施設を運用するより、従業員の自発的な活動を支援・補助する点にあることがわかります。
カフェテリアプランのトレンド
カフェテリアプランとは
カフェテリアプランとは、企業が従業員に一定の補助金(ポイント)を支給し、従業員はその範囲内で用意された福利厚生メニューを選択・利用するという福利厚生運営の新しいあり方のひとつです。自分に必要な福利厚生を自発的に取捨選択していくスタイルから、従業員の自発性を促す一助にもなります。プランの名前は、豊富なメニューから自分の好きなものを注文できる「カフェテリア」に由来します。
カフェテリアプランは1980年代にアメリカで広まり、約10年後に日本で初めて導入された制度です。従業員のライフスタイルが多様化しているなか、画一的な福利厚生では従来の福利厚生の目的を果たせなくなってきている点、正規従業員と非正規従業員との間の不合理な待遇の格差を解消していく必要性が高まっているという時代背景を受け、導入企業は近年増加しています。
カフェテリアプランの導入割合
カフェテリアプランを導入する企業の割合は2019年度時点で17.1%にとどまっており、まだまだ普及しているとは言いがたいのが現状です。とはいえ企業数で見ると、過去10年で85社から104社と、わずかではありますが増加傾向にあります。今後、従業員の自主性を尊重しようと考える企業が増えてくることで、カフェテリアプラン導入企業数が増えていくであろうと見込まれます。
従業員規模が大きい企業の導入率が高い
実際にカフェテリアプランを導入している企業を対象に調査した、2019年度の規模別導入分布が発表されています(参照:日本経済団体連合会 2019年度福利厚生費調査結果報告)。
- 従業員数500人未満:7社(導入割合6.7%)
- 従業員数500~999人:6社(導入割合5.8%)
- 従業員数1,000~2,999人:25社(導入割合24.0%)
- 従業員数3,000~4,999人:16社(導入割合15.4%)
- 5,000人以上:50社(導入割合48.1%)
導入企業数104社のうち、従業員規模が5,000人以上の企業が50社とほぼ半数を占めています。さらに「1,000人以上の従業員規模」へと範囲を広げるとその数は91社となり、全体の87.5%を占めています。従業員数が多ければ多いほど、カフェテリアプランを導入しやすい流れになっていることがわかります。
カフェテリアプランのメリット
カフェテリアプランの大きなメリットのひとつが「福利厚生費の管理のしやすさ」にあります。事前に従業員に一定のポイントを付与するため、利用状況により予算上限を上回るというような変動リスクを回避できます。
また、カフェテリアプランの強みとなるのが、自社の従業員に合わせた企業独自の制度設計が可能になることです。そのため、福利厚生を通じた従業員に対するメッセージに説得力を持たせることができます。付与されたポイントは使用しなければ消化されてしまうため、従業員はより主体性をもって福利厚生について考えるようになるでしょう。ポイントの消化率が高ければ、企業のメッセージが従業員に伝わっているといえます。
従業員への公平性を伴った福利厚生の実現・自主的に福利厚生を選択できる事による従業員の満足度の向上は、先に述べた通りです。
カフェテリアプランのデメリット
では、デメリットについてはどうでしょうか。
従業員の自主性を重んじるということは、管理や手続きがそれだけ多様化し煩雑化しやすくなるともとれます。また、従業員のニーズは年月の経過とともに変化していくため、柔軟に対応していく力も求められます。管理システムの構築や人材育成などでコストがかかりやすいことを念頭に置いておきましょう。
また、未消化のポイントを繰越しできない「単年度精算方式」を採用している企業は、カフェテリアプラン導入企業の61.1%にのぼります(出典:労務研究所 旬刊 福利厚生No.2324「特集2020年版民間企業・団体39事例カフェテリアプランの配分額、メニューと利用実績」)。使いきれなかったポイントが無くなってしまうということが、従業員の不満につながりやすいことも認識しておきましょう。
そして気をつけておきたいのが、課税・非課税の問題です。「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」として、国税庁は下記の見解を示しています。
従業員に付与されるポイントについては、現に従業員がそのポイントを利用してサービスを受けたときに、その内容に応じて課税・非課税を判断するものとして差し支えないと考えられます。
国税庁「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」
ただし、企業の福利厚生費として課税されない経済的利益とするためには、役員・従業員にとって均等なものでなければならないことから、役員・従業員の職務上の地位や報酬額に比例してポイントが付与される場合には、カフェテリアプランの全てについて課税対象となります(所得税基本通達36-29)。
国税庁「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」
課税されない経済的利益は企業から現物給付の形で支給されるものに限られますので、ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプランは、その全てについて課税対象となります。国税庁「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」
このように、基本的には利用内容に応じて企業側が課税・非課税を判断できるとしているものの、地位や役職によって付与されるポイント・換金性を伴ったメニューは課税対象となると定められています。ですが、健康診断や医療費の補助については非課税対象となる場合もあります。
いずれにせよ、カフェテリアプランを導入する際は事前準備を徹底し、課税・非課税についてしっかり学習した上で導入メニューを決めることが大切です。
「リンベル for BUSINESS」の事例
【事例1】企業K様(不動産会社)
【事例2】企業A様(自動車販売会社)
【事例3】企業S様(建設会社)
取引先様へのお中元やお歳暮にとても重宝しています。質の高い内容はもちろん、カタログのデザインのセンスもよく、パッと見ただけで高級感溢れる感じが伝わってきます。大切な取引先様にお渡しするのに、安っぽいものでは心もとありません。これなら我々も安心してお贈りすることができます。
まとめ・「リンベル for BUSINESS」のメリット
求人数が求職者を上回る売り手市場が続くなか、企業はひとりでも多くの優秀な人材を確保しようとさまざまなアプローチで採用活動をおこなっています。とくに近年は事業・職務内容や給与条件とほぼ同等に「福利厚生」が重要視されており、企業独自の目線で導入することができる「法定外福利厚生」の充実度が、採用の質に影響するといっても過言ではないでしょう。
福利厚生のトレンドは、過去20年で大きく変化しています。その背景には、従業員のライフスタイルの多様化はもちろん、コロナ禍における労働環境の変化も影響しています。一人ひとりのニーズに応えられるよう従業員の主体性を重んじた福利厚生メニューが注目されていますが、換言すれば、従来のように「用意された福利厚生」ではなく、企業自らが「福利厚生を用意する」という主体的な姿勢をもつことが大切であるともいえるでしょう。
さまざまな福利厚生のトレンドをご紹介してきましたが、その選択肢のひとつとしておすすめなのが「リンベル for BUSINESS」です。その名の通り、あらゆるビジネスシーンや企業・従業員のニーズに応えられるような多彩なサービスをご用意しています。ギフトそのもののラインナップや品質の高さはもちろん、GMO掛け払いを導入することで経理上の負担軽減を図ります。また、WEB上で簡単に見積もりを作成できるので、社内での検討や稟議にかける場合など気軽にご活用いただけます。
福利厚生は、企業から従業員に供される単なるサービスではなく、従業員と企業双方がよい相互作用をもたらすことができるように活用する潤滑油です。日々の生活を支えてくれる社会保障としての側面はもちろん、慶弔や永年勤続といった人生の節目にも用いられる重要な存在です。福利厚生について正しく理解し、従業員のニーズに合ったその企業ならではの福利厚生制度を構築していきましょう。