【完全版】のし(熨斗)とは?シーンごとのマナーや書き方、水引の結び方について解説
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更新日: 2024.03.07 12:07公開日: 2022.04.23
もう困らない!シーン別・のしの書き方
結婚祝い
水引の結び方・色・本数
のしの中央に渡る2色の帯紐を「水引」といいます。水引は贈り物の用途に応じて結び方・色・本数が異なります。
結婚祝いでは「結び切り」という固結びの水引を選びます。一度結ぶとなかなかほどけない結び方で、婚礼関係を始め繰り返しを避けたいお祝いごとや、弔事に用います。
色は紅白もしくは金銀、本数は最も多い10本を選びます。そのため、基本の水引は「紅白10本結びの結び切り」となります。高額のお祝いを包む場合は金銀の水引を選びましょう。
表書き
のしの上段、水引より上の部分を「表書き」といい、贈り物の目的を書きます。結婚祝いの場合「御結婚御祝」と書きます。
名入れ
のしの下段、水引より下の部分「名入れ」には贈り主の名前を入れます。個人が贈る場合はフルネームを書きますが、複数で贈る場合は連名で名前を書きます。その場合、右が上位となるため年齢や職位が上の方の名前を右側から書きます。男女連名の場合、右に男性、左に女性の名前を入れるケースが基本です。
のしの書き方
慶事の表書きと名入れは、濃い墨色の筆か筆ペンを使います。薄墨は不祝儀に用いるものなので間違えないようにしましょう。
また、書体は楷書体が基本です。崩したりしないようにしましょう。
結婚祝いを贈るときのマナー
結婚式を挙げる場合、結婚祝いを贈る時期は挙式2ヶ月〜1週間前が一般的です。贈るのが遅くなってしまったからといって、挙式当日に持参するのはマナー違反です。スケジュールに余裕をもって準備をしましょう。
挙式をしない場合、結婚報告から1ヶ月以内を目安にお祝いを贈りましょう。この場合、結婚するご本人から結婚報告を受けた人のみが結婚祝いを贈るのが一般的です。
結婚内祝い
水引の結び方・色・本数
結婚内祝いの場合も「結び切り」の水引を選びます。
結婚祝い同様、色は金銀もしくは紅白、本数は最高格の10本結びを選びます。
表書き
「寿」もしくは「内祝」のいずれかを選びます。送りがなは不要ですので注意しましょう。
名入れ
前述の通り贈り主の名前を書きます。結婚内祝いは夫婦ふたりからの贈り物なので、新郎新婦の名前を連名で書きましょう。この場合も、右に男性、左に女性の名前を書くのが基本です。また、結婚後の新姓のみを書く場合もあります。
のしの書き方
慶事ですので、濃い墨色の筆もしくは筆ペンを用います。楷書体ではっきりと書きましょう。
結婚内祝いを贈るときのマナー
結婚式を挙げる場合、挙式後1ヶ月以内に結婚内祝いを贈るのが基本です。
結婚式を挙げない場合、または挙式後に結婚祝いをいただいた場合、いただいた時点から1ヶ月以内に贈るようにします。
「結び切り」は、結婚に関するお祝いならではの水引の結び方です。間違えないように気をつけましょう。
出産祝い
香典返しをはじめとした弔事には、のし紙は用いず、のしの印刷されていない「掛け紙」を掛けます。
水引の結び方・色・本数
出産祝いは「蝶結び」という水引を選びます。蝶結びは、ひもの端を引っ張るとすぐにほどけて何度も結び直すことができるため、何度繰り返してもよいお祝いごとに用いる水引です。別名「花結び」とも呼ばれます。
色は紅白のみ、本数は基本の5本結びを選びます。
表書き
「御祝」「御出産御祝」「御安産御祝」「祝御出産」のいずれかから選んで書きましょう。どれも送りがなは不要です。人によっては4文字の表書きは「4=死」を連想させてしまうこともありますので、配慮しましょう。
名入れ
名入れは贈り主の名前を入れます。連名の場合は右から年齢・職位が高い方の名前を書きます。
ご家族で贈る場合はひとりだけフルネームで書き、左側に名前のみ、もしくは「家族一同」と小さく書くとまとまりがよいでしょう。
のしの書き方
慶事ですので、濃い墨色の筆か筆ペンで、丁寧な楷書体で書きます。
出産祝いを贈るときのマナー
出産祝いを贈る一般的な時期は、生後7日におこなわれるお七夜(赤ちゃんが無事に産まれてきたことをお祝いする最初の行事)から、生後1ヶ月頃におこなわれるお宮参り(赤ちゃんが産まれて初めて産土神にお参りする行事)までとされています。
出産内祝い
水引の結び方・色・本数
出産内祝いの水引も「蝶結び」を選びます。出産は、何度あってもおめでたいお祝いごとです。
出産祝い同様、色は紅白、本数は基本の5本結びを選びます。
表書き
「出産内祝」もしくは「内祝」と書き、送りがなは不要です。人によっては4文字の表書きは「4=死」を連想させてしまうこともありますので、配慮しましょう。
名入れ
出産内祝いの名入れには「赤ちゃんの名前」を書きます。これは、赤ちゃんが人生で初めて感謝を伝える機会であるのと同時に、赤ちゃんの名前をお披露目する機会でもあるからです。苗字は書かず名前のみ。双子の場合は先に生まれた子の名前を右側に書きます。読み間違いを防ぐためにふりがなをつける気遣いを忘れずに。
のしの書き方
慶事ですので、しっかりとした楷書体で書きましょう。濃い墨色の筆もしくは筆ペンを用います。
出産内祝いを贈るときのマナー
出産内祝いは、生後1ヶ月に産土神にお参りするお宮参りの頃までに品物を用意し、遅くとも生後2ヶ月頃までに贈るようにするのが一般的です。
新築・引越し祝い
家を新築したり、新居に引越ししたときにいただくお祝いを「新築祝い」「引越し祝い」といいます。前者は戸建の新築だけでなく、新築のマンション購入や企業の事務所・店舗新築も当てはまります。企業が「移転」する場合は「移転祝い」となるので注意が必要です。
水引の結び方・色・本数
新築と引越しは、どちらも何度あってもよいお祝いごとですので「蝶結び」の水引を選びましょう。
色は紅白のみ、本数も基本の5本結びを選びます。
表書き・名入れ・のしの書き方
表書きは「御祝新築」「御新築祝」「御引越祝」のいずれかを送りがななしで書きます。
名入れは通常の場合と同様、贈り主の名前を濃い墨色の楷書体で書きましょう。
新築・引越し祝いを贈るときのマナー
入居から1〜2ヶ月後までを目安に贈るのが一般的です。
新築・引越し内祝い
水引の結び方・色・本数
「新築内祝い」「引越し内祝い」どちらも何度あってもよいお祝いごとですので「蝶結び」の水引を選びましょう。
他のお祝いの場合と同様、色は紅白のみ、本数も基本の5本結びを選びます。
表書き・名入れ・のしの書き方
表書きは「内祝」「新築内祝」「引越内祝」「御礼」のいずれかを送りがななしで書きます。
名入れは贈り主の名前、もしくは世帯主の氏名か、一家の苗字のみを書きます。状況に合わせて選びましょう。通常の場合と同様、濃い墨色の筆もしくは筆ペンで、楷書体で書きます。
新築・引越し内祝いを贈るときのマナー
引越しを終えてから3週間〜2ヶ月ほどを目安に贈るのが一般的です。
香典返し
水引の結び方・色・本数
掛け紙は、基本的に繰り返しを避ける「結び切り」の水引を選びます。
一方で、「気持ち」という意味があり「ほどけそうでほどけない」ことから「長いお付き合いを大切にしたい」という意味を込めて「あわじ結び」の水引を選ぶこともあります。こちらは慶弔どちらにも用いることができるので、覚えておくとよいでしょう。
色は黒白が一般的ですが、関西から西日本エリアでは黄白を用いることもありますので、地域によって確認しておいた方がよいでしょう。本数は、割り切れる数=偶数がよいとされ、4本結びを基本と考えます。
表書き
表書き・名入れも、状況に応じて変化します。
仏式の場合は表書きを「志」とし、名入れには家名を書きます。「志」には「気持ち」という意味があり、「気持ちばかりのお返し」を意味しています。
関西から西日本では「満中陰志」とすることもあります。
「満」「中陰」「志」という要素に分解でき、それぞれ「満ちる」「故人があの世へと旅立つまでの四十九日間」「気持ちばかりのお返し」を意味し、合わせて「四十九日の忌明けに贈る遺族からの感謝のしるし」となります。
神式・キリスト教式の場合
香典返しの習慣はありませんが、神式では「五十日祭」、キリスト教式では「三十日目の追悼ミサ」(カトリック)もしくは「一ヶ月目の召天記念日」(プロテスタント)に、それぞれ香典返しにあたる品を用意することが多いようです。
表書きは「志」に加えて「偲草」(偲び草)が使われることもあります。
墨の色
香典返しは、四十九日法要を済ませてから贈ります。掛け紙の墨の色は薄墨でも、そうでなくてもよいとされていますが、前者の場合は「突然のご不幸で墨を磨る時間がなく、薄墨になりました」という気持ちを示すとされています。お気持ちによるところですが、基本は薄墨を用いるようにします。
また、香典返しに添えるお礼状や挨拶状の文字の色も、上記にならって薄墨を選ぶようにします。
香典返しを贈るときのマナー
基本的に、香典返しは「弔事を滞りなく終えたことを伝えるためのご挨拶」も兼ねています。四十九日を過ぎた後、つまり「忌が明けて」から贈る意味が込められているため、亡くなられた日から30~50日後に渡すのが良いでしょう。
弔事にのみ用いる掛け紙には、独自のマナーが多くあります。故人を悼む気持ちを伝えるために、しっかりおさえておきたいですね。
入学祝い
水引の結び方・色・本数
「入学」は人生で何度あってもよいお祝いごとです。水引は「蝶結び」を選びます。
色は一般的な慶事の場合と同様紅白を選びますが、本数は5本もしくは7本結びとされています。これは、贈るものの金額に応じて選ぶものとされているためです。品物が高額である場合は7本結びを選びましょう。
表書き
「御入学祝」「入学御祝」「祝御入学」が一般的ですが、状況に応じて「合格御祝」「祝合格」としたり、入学されるお子さまの年齢に合わせてメッセージを入れたりすると喜ばれるでしょう。
名入れ
通常の慶事の通り贈り主の名前を書きます。連名の場合も同様です。
のしの書き方
濃い墨色の筆もしくは筆ペンで、しっかりとした楷書体で書きましょう。
入学祝いを贈るときのマナー
入学が決定している場合、3月初旬〜中旬あたりの早めの時期に贈ると喜ばれます。もし遅くなってしまっても、入学式の前には贈るようにしましょう。
入学内祝い
水引の結び方・色・本数
入学内祝いの場合も、特に変わりはありません。
蝶結びの水引を選び、色は紅白、贈り物に応じて5本もしくは7本結びとします。
表書き・名入れ・のしの書き方
表書きは「内祝」「入学内祝」、名入れは入学祝いをいただいたお子さまの名前を書きます。濃い墨色で丁寧に、しっかりとした楷書体で書くましょう。
入学内祝いを贈るときのマナー
基本は入学式の後に贈ります。「お祝いをいただいてから1ヶ月以内」と覚えておくとよいでしょう。
改めて「のし」とは?
「のし紙」は4つの構成要素から成り立っている
「のし紙」は、贈呈品を包装する「掛け紙」に、「のし」と「水引」を印刷したものを指します。「のし」そのものは、ご祝儀袋やのし紙の右上にある、縦長六角形の飾りのことですが、現在はのし紙そのものを「のし」と呼ぶことが多いようです。「のし紙」は、のしを含めた4つの要素で構成されています。順番にご紹介していきましょう。
表書き
のしの上段、水引より上に書く「贈り物の目的」を指します。用途に応じて書く内容はさまざまですが、慶弔ともに送りがなを用いない点が共通しています。
のし
もともと、贈り物には「薄く伸ばした鮑」を添えるのが日本の贈呈文化の習わしでした。薄く伸ばすことを「伸す」といい、伸ばした鮑で「熨斗鮑(のしあわび)」、時代を追うごとに簡略化され「のし」の部分だけが残りました。
水引
のしの中央に渡っている帯紐を「水引」といいます。もともとは奉書紙で包んだ贈り物を結ぶためのものでしたが、現在はのし紙の一部として印刷されているものが多いようです。
一般的に「蝶結び(ちょうむすび)」「結び切り(むずびきり)」「あわじ結び」の3種類があります。
名入れ
のしの下段、水引より下に書く贈り主の名前を指します。
そもそも「のし」は必要なのか?
贈り物には「必ずのしを掛けなければいけない」というわけではありません。形式にこだわらず、かわいらしいラッピングにして贈るのでも問題はありません。
ですが、贈り先さまが目上の方であったり、フォーマルな場での贈り物である場合は、礼儀作法やマナーをおさえているということが重要視されます。伝統的な包装方法のひとつとして、贈り物のマナーの基本とされる「のし」を掛けた方が間違いないでしょう。
「のし」は、水引の種類や表書き・名入れにより、ひと目でお祝いの内容や贈り主がわかるのも大きな特徴です。シチュエーションに応じて、正しいのしを選ぶようにしましょう。
「のし」と「掛け紙」の違いは?
「のし」と「掛け紙」の大きな違いは、用いるシチュエーションです。前者は慶事、後者は弔事に用います。
「のし」は、もともとのし紙に印刷されている「薄く伸ばした鮑」を模したものです。そのため、生ものを避ける仏前へのお供え物などにはのし紙を用いることはできないのです。
弔事に用いられるのは「掛け紙」といい、のしがなく、水引だけを印刷したものです。
「内のし」と「外のし」の違い
「内のし」は贈答品に直接のしを掛けてから包装紙で包む方法です。ひと目で表書きや名入れがわからないさまが「慎ましい」ように見えることから、控えめに感謝の気持ちを伝える内祝いに適していると言われています。
また、配送でギフトを贈る場合、破損や汚損を避けるために「内のし」を選ぶことがあります。
一方「外のし」は、包装した贈答品の上にのしを掛ける方法を指します。贈り物の目的や贈り主がひと目でわかるため、ビジネスシーンで贈る場合や、お祝いなどを直接手渡しする際に用いられます。
どちらもシーンや目的に応じて使い分ける必要があります。
短冊はどのようなときに使うのか
慶弔をはっきりさせたくない場合、また、お見舞いのようにそもそも慶弔のどちらにも属さない場合は、のしではなく「短冊」を用いることがあります。できるだけ控えめな体裁にして、贈り先さまの負担を減らしたいという場合にも用いられます。
細長い紙というスマートな形態が「短冊」の特徴です。「のし付き」と「無地」の2種類があり、一般的な贈答品や慶事の贈り物には前者、お見舞いや弔事の贈り物には後者を用いるなど、選び方は通常ののしや掛け紙とほぼ同じです。
ひとつの品物に複数ののしを使って問題はないか
贈り物の用途名には、それぞれ別の意味が込められています。それを複数ののしを用いることで一度に済ませるということは、先方に失礼と受け取られる可能性があります。
また、ひとつの品物に複数ののしを掛ける習わしもありません。ひとつの品物にはひとつののしのみを掛けましょう。
もしどちらの意味も込めて贈りたい場合は、どちらかの気持ちをのしとして掛け、もうひとつの気持ちをメッセージカードで伝えるなどするとよいでしょう。
お祝いが続いた場合は、最近あったできごとを優先させてのしを選ぶのが一般的ですが、先方との関係性や事情に応じてどちらを優先させても問題はないでしょう。
「のし」の謂れ
「のし」とは、もともと鮑を薄く伸ばして(=伸して)干した「熨斗鮑(のしあわび)」のことを指していました。これが生ものの象徴とされ、贈答品の右上に添えることで「生ものを添えました」という意味を表し、贈り物を大切扱う姿勢を表していたようです。
そのため、生ものにのしを添える必要はありません。反物や陶器、装飾品といった贈り物にのしを添えるのがしきたりでした。殺生を禁じている仏前へのお供えものにも、もちろんのしは不要です。
「のし」のマナー
のしは、冠婚葬祭や、人生における大切な記念行事といった改まった場での贈り物に用います。のしを掛けるには手間がかかるので、贈り物に大切な意味を持たせるためにものしは欠かせません。
どのようなときに使うのか?
「のし」には、贈り物をする上での大切な要素がすべて詰まっています。水引で贈り物の大まかな内容や贈り先さまとの関係性を示し、表書きで具体的な贈答の目的を、名入れで贈り主を明確にします。
贈り物に関するあらゆる情報を明らかにすることは、贈り先さまへの敬意を表することに他なりません。大切なお祝いの場や、そのお祝いへのお返しとして「内祝い」を贈る場合、またビジネスシーンなどでは、のしは必ず掛けるようにしましょう。
「のし」を掛けてはいけないケース
のしの由来となっている鮑は、生ものの代用として用いられています。魚介類、肉、鰹節、塩干物といった生ものを贈るときは意味が重複してしまうため、のしをつけることはできません。このような場合は、のしのついていないのし紙を選ぶようにしましょう。
また前述の通り、仏前に生ものはお供えしないという習わしから、弔事の贈り物にものしを掛けることはしません。鮑は神様でのお供え物とされてきた由来もありますので、仏前へのお供えに用いることができませんので注意しましょう。
水引の結び方を紹介
水引の結び方は2種類に分けられます。贈り物の内容が「何度繰り返してもおめでたいお祝いごと」か、「一度きりが望ましいお祝いごと」により、選び方が変わっていきます。誤った結び方を選んでしまうとマナー違反になるので注意しましょう。
また、2種類の結び方に加え、贈り物の内容により水引の色や本数の組み合わせも変わっていきます。どのような目的で、なんの贈り物を渡すのかを明確にした上で、贈り先さまに失礼のないように選ぶようにしましょう。
蝶結び(花結び)
両方に輪っかを作って結ぶ「蝶結び」の水引は、結び目がほどけやすく、何度も結び直せることから「何度繰り返してもおめでたいお祝いごと」に用いられます。婚礼以外の一般的なお祝いごとをはじめとしたお礼や、お中元やお歳暮などのご挨拶、入学・合格祝いなどのさまざまな記念行事に用いられます。
「花結び」や「もろなわ結び」とも呼ばれています。
結び切り(固結び)
「本結び」とも呼ばれる「固結び」の水引は、一度結ぶとほどけない=離れないことから「一度きりが望ましいお祝いごと」すなわち婚礼関係に用いられます。また、傷病のお見舞いや快気祝い、災害見舞いといった慶事にも用いられます。繰り返しを避けるという意味で弔事関係にも用いるのも大きな特徴です。
これらの慶弔行事は繰り返しを避けたいものなので、蝶結びはふさわしくありません。必ず結び切りを選ぶようにしましょう。
あわじ結び
「結び切り」同様、一度結ぶと解くのが難しいのが「あわじ結び」という結び方の水引です。円の重なり方から、鳴門の渦潮の形が由来になっているといわれています。見た目も華やかな結び方です。
あわじ結びの特徴は、関東と関西で用いられ方が異なる点にあります。
関東では「あわび(あわじ)結び」も含めて「結び切り」としています。結び直しができませんから、一度きりのお祝いごとである婚礼関係や快気祝いなどのお祝いと、弔事に用いられます。
特に、両端を持って引っ張るとさらに強く結ばれることから「末永く良いお付き合いを」という意味が込められているとされ、結婚祝いによく用いられます。
関西では「結び切り」と「あわび(あわじ)結び」は使い分けがされています。
「結び切り」は関東の場合と同様一度きりのお祝いに用いますが、「あわび(あわじ)結び」は結び切りより広範囲のお祝いごと、すなわち婚礼関係から入学祝い・卒業祝い・七五三・出産祝いなどあらゆる慶事にだけでなく、弔事にも用いられます。
水引のマナー
紐の色は何色がいい?
水引の色は、大きく慶事と弔事で分けられます。
慶事の水引の色
「金銀」の水引は、慶事に用いられる水引のなかでも最高格です。主に結納や結婚祝い・結婚内祝いで用いられます。また、長寿祝いのような一生に一度のお祝いに用いる地域もあるようです。
「赤金」の水引は、主に神社で取り扱われるお札や、正月の門松の飾りに用いられます。
「紅白」が最も広く用いられ、お祝いごとなど慶事全般に用いられています。
弔事の水引の色
弔事の水引の色は黒白が基本です。仏事においては、同様に黒銀が用いられることもあります。また、5万円以上を包む場合は「双銀」といい、左右どちらも銀の水引である場合もあります。
神式の場合は「双白」といい、左右どちらも白の水引が用いられます。
また、黄白の水引を用いる地域もあります。
紐の本数は何本がいい?
慶事の水引の本数
基本的に割り切れない奇数の本数(3本・5本・7本)が用いられ、「5本」が一般的な本数とされています。包む金額や状況に応じて本数が変わり、丁寧で高価な贈り物の場合7本が用いられることもあります。「9本」は「苦」につながるため、縁起が悪く用いられません。
例外として、婚礼関係では偶数の「10本」結びが用いられますが、これは「両家5本ずつを二重にした結び」という考え方に基づき「両家が互いに手と手を結び合っている形」を表しているからです。
弔事の水引の本数
割り切れる偶数の本数(2・4・6本)が用いられます。通常、「4本」が一般的な本数とされています。
慶事・弔事によって、さらにその内容によって、水引のマナー多様に異なっていきます。贈り物の用途にあわせてきちんと使い分けたいですね。
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