お礼の「熨斗(のし)・表書き・名入れ(名前)」はどうする?

イラスト:同じ「御礼」でも、シーンによって水引を使い分けます、とコンシェルジュ。3つの熨斗袋の図解は左から「日常的なお礼:赤銀蝶結び水引+のし付き」「葬儀関係のお礼:黒白水引のしなし」「災害見舞いのお礼:水引、のしなし」

お礼を贈る際には、「御礼」と記したのし紙を添えると丁寧です。ただし、結婚や出産、入学、新築などのお祝いをしていただいた場合のお礼や、病気やケガでお見舞いをいただいたことへのお礼などでは、選ぶ熨斗(のし)や表書きが変化します。今回はさまざまな「お礼をしたい」シーン別に、「熨斗(のし)」の表書きについて解説します。

表書きが「御礼」となるのはこんな時

お礼を用意する場面はさまざまですが、中でも、熨斗(のし)の表書き「御礼」は、何かのお手伝いをしていただいた時、時間を作っていただいた時、何かを教わった時といった、日常生活上のお礼に適しています。

一方で、結婚・出産・入学・新築など、人生にそう何度も訪れない慶事をお祝いしてくださった方や、大きな病気やケガをした際にお見舞いしてくださった方へお礼を贈る場合には、後述するように「御礼」以外の表書きを用います。

「御礼」以外の表書きができるケース(謝礼・粗品・薄謝・寸志)

のし紙画像:赤銀蝶結び水引の上に「御礼」右横に熨斗画像、水引を挟んだ下側に名前「リンベル 太郎」と入っている。

日常生活上でお世話になったことに対して金品を贈る際は、表書きを「御礼」として、水引は紅白5本蝶結びを選ぶのが基本形です。また、ちょっとした(少額な)金品を贈る際には表書きを「謝礼」「粗品」とすることもできます。 

目上の方から目下の方へ贈る際には、「御礼」のほかに「薄謝」や「寸志」という表書きも使用できますが、感謝の意味に重きを置くなら「御礼」とするのが自然です。

水引の下には、贈り主の氏名あるいは団体名などを記載(これを「名入れ」といいます)します。ただし、堅苦しさを減じたい時には、①表書きを書かない、②名入れをしない、③表書きも名入れもしない、などとすることもあります。

黒白の水引や、水引なしの「御礼」もある

のし紙画像:黒白結び切り水引の上に「御礼」下に名前「リンベル 太郎」と入っている

葬儀関係でお世話になった方へのお礼は、黒白5本結び切りを基本として、白黒・黄白・青白・双銀などの組み合わせを用います。黄白の水引は、関西エリアの一周忌以降の法事・法要や御布施に用いられ、特に京都では黄白が一般的です。表書きはいずれも「御礼」とします。

香典をいただいた際のお返し(お礼)には、一周忌までは黒白か双銀の結び切り、三回忌以降は青白か黄白の結び切りの水引を用います。表書きは、「志」または「粗供養」としますが、関西を中心としたエリアでは「満中陰志」も用いられます。ただし、「満中陰志」は仏教の言葉なので、神道やキリスト教などの仏教以外の宗教では使いません。

法事ののしや表書きについては、以下の記事も参考になるでしょう。

のし紙画像:水引はなく、中央上に「御礼」とだけ書かれている

また、震災や火事などの災害に見舞われた際に、お見舞いをいただくことがあります。この場合のお礼は不要ですが、どうしてもお礼をしたい場合には、水引のない無地の掛け紙を選ぶとよいでしょう。お相手が恐縮されないよう、ご自身の生活が落ち着いた後に用意しましょう。

「御礼」以外の表書きを用いるケースは?

ここからは、お礼の中でも「御礼」以外の表書きを使用するシーンをご紹介します。ただし、少額な金品のやりとりの場合には、ここにあるシーンであっても大げさになりすぎないよう「御礼」とすることもあります。

「結婚祝い」のお礼(お返し)

のし紙画像:赤銀結び切り水引の上に「結婚内祝」その右横に熨斗画像がはいっている

結婚祝いをくださった方へのお礼は、表書きを「寿」「内祝」「結婚内祝」のいずれかとします。水引は金銀・赤金(銀)・紅白のいずれかの結び切り、本数は奇数である3・5・7・最高格の10本(5本2束で一対)のどれかを選びます。色と本数は、金額によって変わります。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。

ちなみに、披露宴に出席くださった方々には、料理と引き出物がお返しになるので内祝いは不要です。ただし、ご祝儀を多くいただいた方へは、後日内祝いを贈るようにしましょう。

「出産祝い」のお礼(お返し)

のし紙画像:赤銀蝶結び水引の上に「内祝」その右横に熨斗画像が入っている

出産祝いをくださった方へのお礼は、表書きを「内祝」「出産内祝」のいずれかとします。水引は赤白5本の蝶結びが基本で、高額なお礼(2〜3万円以上)の場合は赤金も用いられます。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。

ケガや病気のお見舞いへのお礼

病気やケガで療養された方が、お世話になった方へ贈るお礼は、状況によって表書きが変化します。

全快した場合は「快気祝い」

のし紙画像:赤銀結び切り水引の上に「快気祝」その右横に熨斗画像が入っている

病気やケガがすっかりよくなってから、お贈りするお礼の表書きは「快気祝い」「全快祝い」「御見舞御礼」です。水引は紅白結び切りとします。ちなみに「退院祝い」は、友人知人など周囲の方からご本人へ贈られるものですので、注意しましょう。

療養・通院を続ける場合は「快気内祝い」

のし紙画像:赤銀結び切り水引の上に「快気内祝」その右に熨斗画像が入っている

当時よりよくなったけれども、まだ療養・通院を続ける場合には、「快気祝い」よりもう少し内輪感のある「快気内祝い」を用います。こちらも水引は紅白結び切りです。

水引きにはプリントされた簡易なものと、より正式な帯紐を結んだものがある

贈答品や金封にかける水引は、のし紙に直接プリントされた簡易なものと、帯紐で結ばれた正式なものがあります。日常生活のちょっとしたお礼にはプリントタイプ、結婚や葬儀など人生の大きな区切りや包む金品が高額な場合には帯紐タイプと、使い分けるとよいでしょう。

配送サービスやお店で購入すると、お贈りするシーンに合わせた水引き・表書きを付けてくれるサービスもあるので活用してみてください。

贈り主の名前は水引の下に記載する

水引の下には、贈り主の氏名あるいは団体名(会社や部署)などを記載(これを「名入れ」といいます)します。

複数人から贈る場合は、右から立場や年齢が高い順で書き連ねます。4名以上の連名の場合には、「◯◯一同(友人一同、有志一同など)」、もしくは、中央に代表者名を入れ左側に小さく「外(他)一同」などとしてもOKです。

お礼には「内のし」と「外のし」どちらがよい?

のし紙のかけ方は、のし紙が外から見えないように包装紙の内側にかける「内のし」と、のし紙が見えるように外側にかける「外のし」の2種類があります。

お礼や内祝いの場合には、控えめな表現に感じる「内のし」がおすすめです。また、「内のし」は配送中にのし紙が傷つきにくいという長所もあります。

御礼の品物を贈る際の注意点

お礼をお贈りする際には、お渡しする際の所作も大切です。感謝の気持ちが伝わるように、以下の点を注意するとよいでしょう。

直接手渡しする場合は紙袋から出す

お相手に手渡しでお礼を贈る場合、品物は紙袋から取り出してからお渡しします。金封はカバンなどに直接入れずに袱紗(ふくさ)に包んで持参し、お渡しするタイミングで折りたたんだ袱紗の上に金封を乗せて差し出します。

贈り先さまの状況を考慮して渡す時期を検討する

日常生活上のお礼は、お世話になったら早めにお渡しするのが基本です。しかし、お相手が喪中であったり、入院中であるなど、喜ばしくないことがあった場合には、贈るタイミングや表書き、水引選びに心配りをしましょう。
贈るタイミングを「忌中が過ぎてから」「様態が落ち着いてから」としたり、表書きを「◯◯内祝い」とせずに単に「御礼」としたり、水引なしののしを選ぶなど、お相手の状況に配慮してお贈りしましょう。

お礼メッセージの書き方

お土産や差し入れなどをいただいた時など、「品物や金封でお返しするのは大げさだけど、お礼の気持ちは伝えたい」という場合は、お礼状やメールなどで感謝の気持ちを伝えるのもよいアイデアです。以下の記事を参考に、感謝の気持ちを文字でお伝えしてみてください。

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