初盆・新盆のお返し。選び方、贈り方などの基本マナーを解説

初盆・新盆とは、故人が亡くなってから最初に迎えるお盆のことです。初盆で香典などをいただいた場合、どのようなお返しをするべきか迷う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は初盆、新盆のお返しの品物の選び方、贈り方などの基本マナーについて解説します。

イラスト:「故人が好きだった陶器でお返しを……」と張り切る若者。シニアが「残るものはやめときなさい、記念品じゃないんだから」とたしなめている

初盆(はつぼん)、新盆(にいぼん・あらぼん・しんぼん)とは

初盆・新盆とは仏教の行事のひとつで、亡くなった方の四十九日法要を終えた後に初めて迎えるお盆や、その際に特に手厚く供養をすることをいいます。
お盆の時期である8月13日~16日(旧暦による、東京など新暦の地域では7月13日~16日)に四十九日を迎えていない場合は、翌年を初盆、新盆とします。

また神道でも亡くなってから1年以内のお盆には初盆祭、新御霊祭(あらみたままつり)といった儀式が行われることから、これを初盆・新盆と呼ぶこともあるようです。

初盆・新盆のお返しとは?

初盆・新盆では特に手厚い供養をするため、親しい方などからお香典や線香代、提灯代などとしてお金を包んでいただいたり、お供えとしてお菓子やお花、提灯などの品物をいただいたりすることがよくあります。こうしたお香典やお供えをいただいた方へのお礼として、初盆・新盆を迎えた家から差し上げる贈り物は「引出物」や「粗供養」(西日本など)、さらに砕けた言い方では「初盆・新盆のお返し」などと呼ばれます。

初盆、新盆のお返しの品の選び方

軽くてかさばらないものを選ぶ

供養に参列された方へ手渡しする場合には、重さや大きさへの気配りも大切です。徒歩や公共交通を利用される方はもちろん、重くかさばる品だとご自宅までの持ち帰りに苦労することが考えられます。自動車などでいらした方でも、車から降ろしてご自宅へ運び入れなければなりません。同じ予算であれば、できるだけ軽くてかさばらないものを選ぶようにするのがよいでしょう。

消耗品を選ぶ

弔事・法事にまつわる贈り物では「不幸や悲しみが残らないように」という意味合いから、食料品や日用品など、日常的に使って無くなる消耗品を選ぶのが一般的です。
また食料品を選ぶ場合は、保管などの負担が軽くなるように、常温保存でき、日持ちする品を選ぶとよいでしょう。
夏の暑い時期ですから、そうめんや蕎麦などの食べやすい麺類(乾麺)、ゼリーなどの洋菓子、水羊羹などの和菓子といった品がおすすめです。ドリンク類は重くかさばるため茶葉や粉末を選ぶなどの注意が必要ですが、配送で差し上げる場合は缶や瓶も喜ばれるでしょう。

お返しでタブーとされている品物

肉・魚

肉や魚は昔から「四つ足生臭もの」と呼ばれ、殺生を連想させる、地域的な慣習、宗教的な理由などから弔事・法事にまつわる贈り物ではタブーとされています。

酒・昆布・鰹節

縁起物として祝儀の引出物に使われることが多いこうした品々も、弔事・法事にまつわる贈り物では避けられるのが一般的です。反対に、祝儀の引出物でもお茶など弔事・法事の贈り物の定番を避ける向きが見られます。

置き物・器

置き物も器も「使ってなくなる」ことのない品です。目につけば悲しみを思い出しかねませんし、万が一割れるようなことがあればいい気持ちはしませんので避けた方がよいとされています。
ちなみに、タオルは「涙をぬぐう」とされ、消耗品として弔事、法事の贈り物でもよく用いられます。

派手な包装の品

デパートなどギフトを多く取り扱う店舗では、弔事・法事の贈り物用として白地にグレー系などの包装紙を用意していることがあります。逆に言えば、弔事・法事の贈り物では、一般的な贈り物のように華やかな包装は似つかわしくないということです。手配をする際には店舗でも「初盆・新盆のお返しである」ことを伝え、できるだけ落ち着いた雰囲気の包装をしてもらうようにしましょう。

カタログギフトもおすすめ

初盆・新盆のお返しにはカタログギフトもおすすめです。お相手の年齢層や家族構成などが幅広く、細かい贈り分けが発生しそうな場合や、お相手のお好みがわからず、品物を選びきれない場合でも、カタログギフトならお相手にお好きなものを選んでいただけます。また、直接お贈りするのはタブーとされる肉・魚・酒なども、カタログに掲載されていて、お相手に選んでいただく分には問題ないとされることが多いようです。
また、さまざまな価格帯が用意されているのもカタログギフトの特長の一つ。初盆・新盆の準備で忙しいときにも予算に応じて簡単に選ぶことができて、贈り先さまにお好みの物を差し上げることができます。

初盆のお返し品の相場について

いただいた品の2分の1~3分の1の金額が相場

初盆・新盆のお返しの予算はいただいた分の半額程度から3分の1程度が目安といわれます。一般的なお香典やお供えの相場は3,000円~10,000円といわれますから、当日のお返しは1,500円~5,000円を目安に用意しておくとよいでしょう。

高額なものをいただいた場合は?

当日は5,000円ほどのお返ししか用意していなかったのに、お香典を確認したら100,000円いただいていた……ということもあるかもしれません。その場合は、後日改めて足りなかった分のお返しを差し上げるようにしましょう。
ただ、相場よりかなり高額のお香典をくださる方は、故人に近しい方など「お礼には気を使わず、供養や生活に役立ててほしい」という気持ちからということもあります。こうした場合は必ず半返しでなくとも、当日返しと合わせて30,000円程度になるようなお返しを用意して、きちんとお礼のご挨拶をする方が喜んでいただけるでしょう。

お返しの「のし(熨斗)」について

のし紙(掛け紙)の表書き

画像:黒白あわじ結び水引の書かれたのし紙。水引上には筆文字で「志」下には「リンベル家」と書かれている画像:黒白あわじ結び水引の書かれたのし紙。水引上には筆文字で「粗供養」下には「リンベル家」と書かれている。

初盆・新盆のお返しにはのし紙(掛け紙)をかけるようにします。表書きは、水引の結び目の上を「志」または「初盆志」とするのが一般的ですが、「粗供養」(主に西日本)なども見られます。また、結び目の下には「施主の名字」、「施主のフルネーム」、「〇〇家」など、贈り主の名を入れるようにします。

のし紙(掛け紙)の種類

のし紙(掛け紙)を店舗などで依頼する場合は「初盆のお返し用」とはっきり伝え、黒白または黄白の結び切りの水引がついたものをかけてもらいましょう。お祝いのように水引の種類で使い分けることはまずありませんので、弔事・法事であることが伝われば間違いはないはずです。ただ、「満中陰志」(主に西日本)は四十九日の香典返しに使われる表書きですので、間違って使うことがないよう覚えておきましょう。

お返しを渡すタイミング

当日渡す場合

初盆・新盆の当日にお返しを渡す場合、法要が終わってすぐお帰りになる方にはその際にお渡しします。会食に参加される方には、食事中持て余さないよう会食のお開きを見計らってお渡しします。お渡しする際は、亡くなった方を供養してくださった感謝の気持ちをお伝えするのを忘れないようにしましょう。

後日渡す場合

遠方からお香典やお供えを贈ってくださった方への配送でのお返しや、当日の荷物にならないよう配送するお返し、また、高額のお香典をくださった方へ後日改めてお渡しするお返しなどは、初盆・新盆の法要を終えてから2週間以内を目処に手配しましょう。

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