火事はそうそう誰にでも起こることではありませんから、いざお見舞いをする段になって「どうすればいいの?」と迷ってしまいますね。こうした不運に日ごろから備えるのは気が進まないものですが、一般常識として知っておくと、とっさの時にスマートに対応できます。
類焼見舞いとは 火事見舞いとの違い
「類焼見舞い」は、もらい火などで被災した方へのお見舞い
類焼には「よそから出た火事で焼ける」という意味があります。つまり「類焼見舞い」は、火元となった方ではなく、延焼などのもらい火で被災した方への御見舞のことなのです。
ちなみに、火災自体の被害はなかったものの、消防活動や煙・においなどで被害に遭った方へのお見舞いは「近火見舞い」と言われます。
「類焼見舞い」は火事見舞いの一種
類焼見舞い、近火見舞いは、火元となった方や経緯不明の方へのお見舞いも含めた「火事見舞い」の一種です。いずれも、火災に関係していない方がお贈りする場合は「被災した方への支援の気持ちを込めた贈り物」ですので、選び方や贈り方などは概ね共通していると言っていいでしょう。
ただし、「類焼見舞い」、「近火見舞い」については、火元となった方から「火災で迷惑をかけたお詫び」として、被災した方へお贈りする場合もあります。
封筒の表書きは『類焼御見舞』で
先述したように、「類焼見舞い」は火事見舞いと共通する部分が多いのですが、「見舞金を包む封筒の表書き」はそれぞれ違う文言を入れます。
火元となった方や経緯不明の方への表書きを「火災御見舞」とするのに対し、類焼見舞いは「類焼御見舞」、近火見舞いは「近火御見舞」とします。
詳しくは、下記の記事も参考にしてみてください。
知っておきたい火事見舞いのマナー|封筒の種類や書き方 | ギフトコンシェルジュ〔リンベル〕
類焼見舞い、お相手への気遣いのポイントは?
被災直後はお金よりも「当座必要な品を手配したり、手伝いをしたりする」ほうが助かることも
被害状況にもよりますが、被災直後は生活に必要な品も足りず、買い物をする余裕もないといったことがままあります。親しい方であれば現金のお見舞いよりも、衣類や身の回り品など当座必要な品を直接お贈りしたり、現場を片付ける手伝いをしたりする方が助かるかもしれません。
行き違いが起こらないようまずは協力を申し出、必要な品や手伝ってほしいことをリクエストしてもらうと安心です。
復旧のめどが立ってからなら、「生活を立て直すためのお金や品物」
被災後しばらく経って復旧のめどが立ち、少し落ち着いてからお贈りする類焼見舞いなら、焼失した家財道具を買い直したりするのに使えるお見舞金をお贈りします。
火事見舞いは立場に関わらず現金をお贈りしても失礼にはあたりません。しかし、気になるようであれば復旧した後まで使える日用品などをお贈りしてもよいでしょう。
マナーにこだわり過ぎず、「相手を思いやり、本当に役立つ支援」を
類焼見舞いを含めた火事見舞いは、いわゆるお付き合いの贈り物ではない「急な災害をしのぐための支援」の意味が大きい贈り物です。したがって、形ばかりのマナーを気にするよりも「相手のためになる支援は何か」を考えて用意するのが肝心です。
例えば「火災で思い出の写真が消失してしまった」という方には、お相手との関係性にもよりますが、親族や仲間に声をかけて、皆さんがお持ちの写真を焼き増しして差し上げるといったお見舞いもよいかもしれません。
類焼見舞い、できれば避けたい注意点は?
火を連想させる品、火災を思い出させる品を贈る
火災に遭った直後の方にとって、火は忌々しく感じられるものです。赤い品物や火の模様が入った品物、ガスコンロ、喫煙具など、火を連想させる贈り物は避けた方が心穏やかに過ごせるでしょう。
また、焼失してしまったかけがえのない品を思い出させるような贈り物も、時間が経って落ち着くまではやめておきましょう。
頼まれてもいないのに詳細を聞き出す、余計な励ましをするのはNG
被災した方の話し相手になり、気持ちを慰めて差し上げるのは助けになるものですが、あくまでお相手が話したいことを聞くだけに留めましょう。こちらから根掘り葉掘り聞き出したり、落ち込んでいる人を無理に励ましたりするのはかえって逆効果になりかねません。