二十四節気「啓蟄(けいちつ)」とは 時期と意味、過ごし方を解説

1年を24の季節(節気)に分けた二十四節気は、四季よりももっと細かく季節の小さな変化を表しています。「啓蟄」は春分のひとつ手前の節気で、暦の上では春到来の直前と言えます。啓蟄の意味や時期、過ごし方を解説します。

イラスト:虫が土から顔を覗かせ、桃が咲き、菜の花の周りをモンシロチョウが飛んでいる様子

冬ごもりの虫が顔を出す「啓蟄」のころ

連日の厳しい冷え込みもようやく和らいで、一雨ごとに暖かくなってくるのが「啓蟄」のころです。「啓」は“開く・開放する”、「蟄」は“虫が冬の間、土にこもる”といった意味があり、「啓蟄」は春の到来を感じて虫たちが土から出てくることを表しています。

害虫から松の木を守るために、冬の間は藁(わら)でできた菰(こも)を巻きつけますが、暖かくなって菰を外す「菰はずし」は、「啓蟄」に合わせて行う地域が多い季節の風物詩です。

カレンダー上では3月5日ごろ〜3月20日ごろで、春分のひとつ前の節気です。2022年は3月5日〜3月20日、2023年は3月6日〜3月20日が啓蟄にあたります。

冬の間は藁(わら)でできた菰(こも)を巻きつけて害虫から松の木を守り、暖かくなって菰を外す風習「菰はずし」は、「啓蟄」に合わせて行う地域が多い季節の風物詩です。

啓蟄の過ごし方

四季で考えると季節の変わり目である啓蟄は、体調もそうですが、新年度が近づき環境の変化を感じるなど心の調子も乱れやすい時期です。イライラしたりぼんやりしたり、気力がわかないといった不調が多く聞かれます。

啓蟄のころにそうした不調を感じたら、30分早く寝る、ボーッとする時間を作る、湯船につかって温まるなど、いつもより多めに休息をとるように意識してみてください。

啓蟄は苦味&香り野菜の時期

3月に旬を迎える野菜はタラの芽・よもぎ・フキノトウ・菜の花・ニラ・あさつき・新玉ねぎ・春キャベツなど。苦味や香りに特徴のある山菜・野菜が採れます。

魚へんに春と書いて「鰆」と書くサワラは、冬と春の2度旬を迎える魚です。関東では冬の寒鰆、関西では春の春鰆が好まれる傾向があります。サワラはDHAやEPAが豊富な青魚ですから、この時期にぜひ味わっておきましょう。塩焼き、西京焼き、照り焼きなどいろいろな調理法でいただけます。

苦味や香りのある野菜は、薬膳的にはイライラや不安を和らげてリラックスさせてくれると考えられていますから、これらを積極的に食べるようにするのも良いですね。

七十二侯では「蟄虫啓戸」「桃始笑」「菜虫化蝶」

二十四節気をさらに細かく分けた暦が七十二候(しちじゅうにこう)。おおよそ5日ごとに移り変わっていきます。

啓蟄は七十二候では「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」「桃始笑(ももはじめてさく)」「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」です。

蟄虫啓戸(3月5日〜3月9日ごろ)

冬眠していた虫たちが、土から顔を出す目覚めの季節。啓蟄と同じ意味です。虫にはカエルや蛇といった動物も含まれています。

桃始笑(3月10日〜3月14日ごろ)

桃のつぼみがほころんで、咲き始める季節。花が咲くことを「笑う」と表現しているところがステキです。菜の花やたんぽぽなど、道端でも春らしい野花を見かけるようになります。

菜虫化蝶(3月15日〜3月19日ごろ)

まもなく春分となるこの季節は、菜っ葉につく青虫が蝶(ちょう)となって畑や公園を飛び交います。この時期の蝶はモンシロチョウが代表的です。虫たちが起きて花が咲き、蝶が舞いはじめたら、いよいよ本格的な春がやってきます。

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