改まった手紙や、目上の方への手紙となるとつい「礼儀を欠かないように」、「形式に則って」書こうとしてしまいがちです。時候の挨拶は形式もさることながら、お相手に季節感をイメージしていただいたり、思いやる気持ちを伝えたりすることがより重要なポイントになります。
3月の時候の挨拶
ビジネスなどの改まった手紙に
上旬~中旬:
早春の候、浅春のみぎり、日ごとに春の訪れを感じるようになりました~
中旬~下旬:
陽春の候、春暖のみぎり、春光うららかな季節を迎え~
結びの挨拶:
春寒料峭のみぎり、くれぐれもご自愛くださいませ
親しい方へのお便りに
上旬~中旬:
日差しに春の温かさが感じられるようになりました~
中旬~下旬:
桜の開花が待ち遠しい季節になりました~
結びの挨拶:
季節の変わり目ですので、お風邪など召されませんようご自愛ください
上旬~中旬は徐々に春めいてくる様子や、春がきたばかりといった内容、中旬~下旬はすっかり春らしくなってきたという内容が中心です。
例年より厳しい寒暖差が見られる場合などは、1~2月の時候の挨拶である「三寒四温」を使って「春とは名ばかり、三寒四温の続くこの頃ですが~」などとしてもよいでしょう。
4月の時候の挨拶
ビジネスなどの改まった手紙に
上旬~中旬:
仲春の候、桜花爛漫のみぎり、春たけなわの頃となり~
中旬~下旬:
麗春の候、晩春のみぎり、すっかり春めいてまいりました~
結びの挨拶:
うららかな季節、どうぞお健やかにお過ごしください
親しい方へのお便りに
上旬~中旬:
桜の便りが次々と聞かれる今日この頃~
中旬~下旬:
葉桜の緑もあざやかな季節になりました~
結びの挨拶:
花冷えの季節にて、どうぞお体ご自愛ください
上旬~中旬はまさに春らんまんとされる時期。桜の咲く地域も多くなりますので、桜前線に合わせた挨拶もよいでしょう。例年より寒いようであれば「花冷えの季節」「寒の戻り」などとし、お相手をいたわる内容を。下旬は、そろそろ春も折り返しを迎える頃。新緑には少々早いですが、葉桜を取り上げるならこの時期でしょう。
5月の時候の挨拶
ビジネスなどの改まった手紙に
上旬~中旬:
薫風の候、新緑の候、若葉の候、行く春を惜しむ間もなく~
中旬~下旬:
万緑のみぎり、立夏の候、薄暑の候、日差しに夏の気配を感じる~。
結びの挨拶:
向暑の折、何卒お体おいといください
親しい方へのお便りに
上旬~中旬:
五月晴れの空も爽やかな季節となりました~
中旬~下旬:
風に初夏の兆しが感じられる今日この頃~
結びの挨拶:
木の芽どきゆえ、何卒お体ご自愛くださいませ
上旬~中旬はまさに新緑がぐんぐんと伸び、風が心地よく感じられる気持ちの良い時期です。とはいえ、木の芽どきは体調を崩しやすいとも言われます。一方中旬~下旬はそろそろ初夏に差し掛かる頃。雨の日が多くあれば、梅雨の先触れである「走り梅雨」を取り上げるのもよいでしょう。