お葬式の香典マナー 葬儀用封筒(香典袋)の書き方・選び方

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この記事を監修した人

神尾 里恵子

都内大手百貨店で、リビング商品の販売や仕入れを約20年、ギフトバイヤーとして20年の勤務を経験。
ブライダルフェアやギフトサロンでも、直接お客様のご相談を受けてきた経験も多数あり。現在は培ってきた実績を活かし、多様なシーンで心から喜ばれるギフトの選び方を提案している。

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お葬式へ参列する場合、日時が決められている慶事と異なり、充分な準備をする時間がありません。とくに葬儀用封筒である「香典袋」は、宗教に応じてさまざま種類のものが用意されているため、どんなものを選べばよいか迷ってしまいます。

香典袋の選び方、そして書き方の基本を押さえておきましょう。

イラスト:キリスト教と仏式のご祝儀袋を指さしながら「香典袋は“表書き+水引”の組み合わせ。宗教・宗派に合わせて選びましょう」と言うコンシェルジュ

通夜・葬儀に持参する封筒「香典袋」とは

通夜や葬儀・告別式に参列する際に、持参するもののひとつに香典があります。香典は、故人にお供えする金品であり、線香の代わりとなるものです。香典を包む封筒を香典袋と言い、不祝儀袋とも呼ばれます。

香典袋(不祝儀袋)には種類・書き方・渡し方・金額・封筒へのお金の入れ方など多くのマナーがありますので、しっかり理解をしていないと先方に失礼にあたることもあります。

とくに社会人という立場では、プライベートな関係の方だけでなく、仕事上でお世話になった方とのお別れの場で香典袋を渡す機会が想像されます。この場合、お付き合いの関係性で金額の相場が大きく変化するため、配慮が必要です。

香典袋は文房具店・スーパーなどで購入できます。

ちなみに「香典袋」を「のし袋」と混同してしまいがちですが、のし袋は「祝儀袋」を指す言葉ですので注意が必要です。

近頃はコンビニや100円ショップなどでも多くの種類の香典袋を販売していますから、早急に準備しなくてはいけないときも手軽に用意できるので安心です。

葬儀の形式によって「御霊前」や「御玉串料」など表書きが異なるので、あらかじめ表書きが印刷されたものを買う際には間違わないよう注意しましょう。宗教別の表書きについては後述します。

香典を受け付けていない葬儀もある

家族葬や故人様の意思、宗教上の理由などによって香典を受け付けないケースもあります。ただし、規模によっては家族葬でも受付が設けられており、香典を受ける場合もあるようです。

一概に言えないのが難しいところですが、香典辞退の場合、葬儀案内を読めばその旨が記載されているので確認しておきましょう。

【宗教別】水引と表書きの種類・対応表

香典袋は宗教や宗派によって、表書きや水引の色形が異なります。葬儀の形式に合わせて使い分けるようにしましょう。

不祝儀袋の水引には「白」「黒」「黄色」「双銀」などを用います。二度と繰り返さないように、という思いを表すため、解けない結び方である「結び切り」や「あわじ結び」になっているものを選びましょう。

香典袋には、水引が印刷されたタイプと、実際に水引が結ばれているタイプがあります。高額の香典では本物の水引が添えられた不祝儀袋を使うなど、金額にあわせて香典袋を用意しましょう。

多くの地域では「黒白」の水引が主流ですが、関西の都市部では「黄白」の水引を用いるなど地域差がありますので事前に確認しましょう。

また、香典袋には多くの種類がありますが、「白黒結びきりの水引・御霊前」は通夜の際に使えます。普段から備えておくと良いでしょう。

 

ひと口に「香典袋」とはいっても、宗教・宗派や地域によってマナーはさまざまです。一般的なしきたりを頭に入れておいて、細かいところは後から確認するようにするとよいですね。

コンシェルジュさん

宗派がわからない場合の表書きはどうする?

訃報を受けた際に宗教・宗派を確認することができれば、それらに合わせた香典袋を用意できますが、確認ができない場合はどのようにすればよいのでしょうか?

一般的な表書きとして通用するのは「御霊前」と「御仏前」です。四十九日法要より前に香典袋を用意する場合は「御霊前」、四十九日法要より後の場合は「御仏前」と書きます。これは、亡くなった方は49日目で仏様になるという仏教の考えに基づいています。

ちなみに浄土真宗では、死後すぐに成仏(往生)するという考えがあるため、四十九日法要の前であっても「ご霊前」は使いません。

また、供物として線香をお供えするためのお金を喪主に渡す場合は「御香料(ごこうりょう)」「御香資(ごこうし)」「御香奠(ごこうでん)」という表書きを用います。これらは各宗派共通で用いることができます。

以下の記事で各宗教・宗派の表書きの理由を紹介していますので、参考にしてください。

宗教・宗派 水引の種類 表書き
広く使用可能
(神式、キリスト教は不可)
白黒結び切り 御霊前(四十九日より前)
御仏前(四十九日以降)
仏式
(浄土真宗も可)
白黒結び切り 御香典
神式 白黒結び切り 御玉串料
キリスト教プロテスタント 水引なしの白封筒
もしくは
十字架の描かれた封筒
御花料
忌慰料
献花料
キリスト教カトリック 水引なしの白封筒
もしくは
十字架やユリ模様
御花料
御ミサ料
献花料
浄土真宗 白黒結び切り 御仏前
御供

表書きは薄墨を使うのが基本

香典袋の表書きには氏名を、中包みの表には金額、裏には住所と氏名を書き添えておきましょう。これはどの不祝儀袋の場合も共通です。

表書きは薄墨の筆か筆ペン、またはサインペンで書くのが基本です。薄墨とは薄い墨色に色味を調整したもので、涙で文字がにじむような悲しみを表しているといわれています。薄墨の筆ペンやサインペンは、弔事用として市販されています。

 

不祝儀用の筆ペンなどは、コンビニや文具店で購入することができます。万が一に備えて用意しておくと安心です。

コンシェルジュさん

中包みは黒いペンでもOK

香典袋の中の封筒(中袋・中包み)は、黒の筆ペンやサインペンを用いても問題ありません。むしろ、受け取った方が読みやすいのでそのほうが親切な向きもあります。ちなみに、ボールペンや鉛筆はマナー違反と考えられています。

表に記載する金額は「金○萬圓也」と漢数字を用います。最近は算用数字(1、3、5、1,000、10,000など)で書く人も増えましたが、正式には漢数字(壱、参、伍、仟、萬など)を使うものとされています。裏に記入する氏名と住所は略したりせず、郵便番号まで書いておきます。

ひとり、または複数人で香典を包む場合

表面の下段に送り主の氏名を書きますが、人数によって書き方が異なります。自分ひとりの香典を包む場合は、自分の氏名を記載します。会社の関係などで肩書を付ける場合、氏名の右側に小さめに書きましょう。

状況により2人以上、または組織・団体単位で香典を包むケースもあるでしょう。それぞれ注意すべき点をご紹介します。

2名で香典を包むケース(夫婦の場合)

夫の氏名の「左隣」に、妻の名前のみを書きます。

3名までの連名で香典を包むケース(会社の同僚として出す場合)

3名までは全員の氏名を書きます。この場合、会社名または団体名を一番右側に記入します。

右側から目上の人、左に向かって目下の人になる順番で書きます。上下関係がない場合は五十音順で書くとよいでしょう。

4名以上で香典を包むケース

複数名で香典を包むのは3名までがマナーとされています。

4名以上になる場合は「職場(団体名)一同」、または「職場(団体名)、代表者名、他一同(他〇名)」と書きます。
さらに、香典とは別に「白い無地の便箋」を用意し、香典を包んだ全員の氏名、住所、金額などの情報を記載します。最後に、便箋と香典を香典袋に一緒に入れて渡します。

会社や団体名で香典を包むケース

香典袋の中央に会社または団体の代表者名・右側に会社名・団体名を記載します。

同僚や上司、また友人同士が、連名で香典を包む際の表書きは以下の記事でご紹介しています。

香典袋に旧姓を書きたい場合

表書きの氏名は、新姓で書くのが基本です。不祝儀袋に記載する氏名を旧姓にしたい場合は、表書きの下段中心部分に新姓の氏名を書き、苗字の左横に「(旧姓)」と書くとよいでしょう。また、表書きには新姓の氏名のみを書き、中袋の名前の横に旧姓の氏名を書いても問題はありません。

姓・新姓にかかわらず、喪家側が誰からか分かるように配慮することが必要です。

香典の金額相場について

香典をいくら用意すればよいのか、準備を進める上で非常に気になるところです。香典の金額は一律の相場ではなく、故人との関係性によって変動します。

友人・知人の場合

友人・知人本人:5,000〜1万円

友人・知人のご家族:5,000〜1万円

勤務先・取引先・ご近所の方の場合

上司:3,000~1万円

同僚:3,000~1万円

部下:3,000~1万円

社員のご家族:3,000~5,000円

取引先の方:5,000~1万円

ご近所の方:3,000~5,000円

 

故人の関係性により、金額に大きな開きが出ているのがわかります。高額すぎず、低すぎず、相場の範囲をわきまえるのが大切ですね。

コンシェルジュさん

お金は新札より古いお金(古札)を

香典に包むお金は新札でない方がよいとされます。これには「新札だとあらかじめ用意していた(不幸を待っていた)ように感じる」とか、「遺族に新しい不幸が来ないように」いうような説があります。

しかし、いくら古札が適しているとはいえ、破けているものや、あまりにも汚れやシワが目立つものは失礼にあたります。新札には見えない、若干の使用感が出ている程度の古札を使いましょう。また、新札しか用意できない場合は、ご自身で一度折り目を付けてから包めば問題ありません。

香典袋へのお金の入れ方

香典袋にお金を入れる際、袋の「表面」に対して、お金が「裏面」になるように入れるのが一般的なマナーです。「お悔やみごとなので、顔を伏せる」という意味が込められています。複数枚包む場合は、4や9など縁起の悪い数字は避け、基本的に1、3、5、7などの奇数になるようにしましょう。(偶数の中で10は可)お札の向きを揃えるようにします。

また、お金を入れる際に肖像画のどちらを上下にするかについては、地域のしきたりによって大きく異なります。どちらが正しいとは一概には言えないので、ひとまずお金が裏面になっていれば、どちらを上下にするかは気にしなくてもよいでしょう。

市販の香典袋には中袋が付いていることがほとんどですが、中袋がなく直接香典袋に入れるタイプもあります。どちらの場合であっても、お金は必ず裏側にして入れるようにしましょう。和紙を折りこむ外袋の場合、最後の折込口を上から下にかぶせます。「悲しみをためこまないように」という意味があるとされています。

香典袋の渡し方

香典を渡す際、お悔やみの言葉を述べずに一礼だけで済ませる方も多いようですが、やはりお悔やみの言葉を述べてから渡すのがマナーです。香典袋は弔事用の「袱紗」に包んで持参し、受付で袱紗から出してお渡ししましょう。

「このたびは、誠にご愁傷さまでございました。どうぞ御霊前にお供えください」または「このたびは、お気の毒さまでございました。どうぞ御霊前にお供えください」というように述べるのが一般的です。

遺族に言葉をかける際は、故人に対してのお悔やみの気持ちを表すことが大切です。葬儀に参列する際の心得として覚えておきましょう。

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