ゆらゆらと揺れる炎に、なんともいえないノスタルジーを感じる迎え火と送り火。その意味を知ると、大切な人の在りし日を思い返したり、先祖の霊に感謝の念を抱いたり、お盆のひとときの過ごし方もより深まるかもしれません。
迎え火・送り火にはどんな意味がある?
先祖の霊を迎える目印の「迎え火」、お見送りの「送り火」
迎え火は、お盆に自宅へ帰ってくるといわれる先祖の霊を迎える目印として、玄関先や庭などで焚かれる火のことを言います。送り火は、お盆の終わりにまたあの世へと戻る先祖の霊をお見送りするため、迎え火と同じように玄関先や庭などで焚かれる火のことです。
火を焚く代わりに盆提灯を灯すこともある
火を焚くことが身近だった昔と違って、現代は集合住宅や住宅街など、防火上の理由で送り火を焚くことが難しい住居や地域が増えています。そういった家庭では、送り火に代えて室内で電球式の盆提灯を灯すこともあるようです。
迎え火・送り火の手順
迎え火は8月(7月)13日の夕方に
迎え火は、盆の入りや迎え盆などと呼ばれるお盆の初日、8月(地域などによっては7月)13日の夕方に焚くのが一般的です。玄関先で焙烙(ほうろく・素焼きの小皿)におがら(皮を剥いた麻の茎)をのせ、火を点けて燃やします。
この時、迎え火の火を使って盆提灯を灯しますが、電球式の提灯などはもちろんこの限りではありません。燃え尽きたおがらに水をかけ、火の始末をしてから片付けましょう。
ちなみに昔ながらのやり方では、お墓参りの際にろうそくから盆提灯へ火を灯し、帰宅後にその火で迎え火を焚きます。
送り火は8月(7月)16日の夕方、これにちなんだ行事も多い
送り火は、盆明けや送り盆などと呼ばれる8月(7月)16日の夕方に焚くのが一般的です。迎え火と道具は同じですが手順は逆で、盆提灯の火を使って迎え火を点けます。
お盆の地域行事には、京都の五山送り火や九州の精霊流しなど火を使うものが多く見られます。これらは大規模な送り火とも言えるもので、こうした行事のある地域では、各家庭での送り火が行われていないこともあります。
地域によってやり方はさまざま、そもそも慣習がないことも
送り火をまたいで無病息災を願うといった風習がある地域もあり、地域によって迎え火と送り火にはさまざまな違いが見られます。また、浄土真宗では先祖の霊が帰ってくるという考え方がないということもあり、迎え火・送り火の慣習自体がない宗派や地域もあるということを知っておくことも大切です。