結納について、関東式と関西式ではいわゆるしきたり以前に、考え方にも違いがあります。これは、関東では武家、関西では公家の婚礼が基本になっているからだとも言われています。
そもそも結納の考え方が違う関東と関西
関東式は「新郎新婦で同等に取り交わす」、関西式は「新郎から新婦へ贈る」
関東式では新郎新婦は同格(もしくは新婦がやや下)と考え、結納の品もそれに準じてほぼ同等に取り交わされます。結納返しにも、結納金の半額程度の物品を用意するのが一般的です。
一方、関西式では結納の金品は新郎から新婦へ贈るものとされ、新郎側だけが用意します。結納返しにあたる持参金も、結納金の1割程度が一般的です。結納返しについては、下記の各記事も参考にしてみてください。
ギフトコンシェルジュ:結納返し
正式、略式、仲人の有無など多様なスタイルに進化
本来、結納は両家の間を仲人が行き来するのが正式で、現在一般的なホテルや料亭に両家の関係者が集まる結納は略式とされます。さらに、仲人を立てないスタイルや、結納品の代わりに記念品をやり取りするスタイルなど、結納もさまざまに進化しています。関東式、関西式に限らず、両家がどのくらいフォーマルな結納を想定しているかは、あらかじめ確認しておいた方がよいでしょう。
結納品も違う!関東式と関西式
結納品の数は関東式も関西式も9品が基本ですが、さらに多かったり、簡略化されることも
関東式と関西式では、結納品の内容や意匠も違っています。まずは、それぞれの基本とされる結納品9品を見てみましょう。
関東式
- 熨斗(のし/鮑を叩いて伸ばした正式の熨斗)
- 末広(すえひろ/一対になった白扇で、末広がりにかかった縁起物です)
- 御帯料(おんおびりょう/結納金)
- 家内喜多留(やなぎだる/酒料、または角樽に入ったお酒)
- 友白髪(ともしらが/白い麻の束。長寿と強い絆の象徴とされます)
- 寿留女(するめ/噛めば噛むほど味が出ることから、縁起が良いとされます)
- 子生婦(こんぶ/子だくさんの象徴であり、「よろこんぶ」にかかっているともされます)
- 勝男武士(かつおぶし/武運長久の縁起物とされます)
- 目録
関西式
- 熨斗
- 末広
- 小袖料(こそでりょう/結納金。関東式の御帯料にあたる)
- 柳樽料(やなぎだる/酒料)
- 松魚料(しょうぎょりょう/肴料)
- 高砂(たかさご/能「高砂」に登場する老夫婦、尉と姥の人形。末永く夫婦仲が良いことの象徴とされます)
- 寿留女
- 子生婦
- 結美和(ゆびわ/婚約指輪)
ここで挙げたのはごく一般的な例で、関東式でも関西式でも、結納品を7品、5品と簡略化するケースは珍しくありません。また、この他にも結納品が加わり、21品も用意するといったケースもあります。例えば、婚礼が豪華なことで有名な東海地方では、反物を使って宝船や鯛などの縁起物をかたどる「呉服細工」も結納品のひとつとなっています。