いつも年賀状を送り合っているお相手から、喪中のお知らせが届いた。年賀状をお送りしたあとに、お相手が喪中であることを知ってしまった。そうしたときの対応はどうするのが正しいのでしょうか?
喪中のお相手を気遣いながら、年始のごあいさつができるよう、基本的なマナーを知っておきましょう。
年賀状、出してもいいけれど……
喪中の方への年賀状、実は送ってはいけないという決まりはありません。喪中の方は年初を祝いませんが、こちら(喪中でないほう)から送るのはよいとされています。
喪中はがきの本来の意味
例えば、喪中はがきは「こちらからは年初を祝うごあいさつができません」というおわびが本来の意味で、単に喪中であることを報告するものではありません。また、「年賀状を出してこないで」という意味でもありません。
喪中の方への年賀状は、年始状という名称でお祝いの言葉を書かないという方法があります。祝いの言葉を慎み、かつ、お悔やみを伝えたり、励ましたりといった文面にすれば送っても大丈夫です。
喪中の人には年賀状を出さないことが主流に
しかしながら、最近では「喪中の人へは年賀状を出さない」という考えが主流となっていますから、年賀状を受け取ったお相手が居心地の悪さを感じるケースも見受けられます。
現在の風潮としては、喪中の方へは年賀状を送らず、寒中見舞いで年始のあいさつをするのが最もスマートだといえるでしょう。
喪中はがきはどこまでの人に出す?
喪中はがきは、どこまでの範囲の人に送るべきなのでしょうか。一般的に、送ったほうがよいと言われている関係性を順に見ていきましょう。
毎年年賀状のやりとりをしている身内の方には、「年賀状を出せないための挨拶」として必ず送るようにします。故人とゆかりのある方や、葬儀に参列してくださった方にも「生前はお世話になりました」というお礼の気持ちと一緒に送りましょう。
また、昨今は「プライベートとビジネスを切り離す」という考え方が広まっています。そのため、ビジネス上での関係者には喪中はがきを送らないこともあるようですが、仕事以上の親しい付き合いをされている方には、しっかりご挨拶をした方がよいでしょう。
このように、基本的には故人と面識のある人や関わりの深い人には喪中はがきを送り、ほとんど関わり合いのない人には出さないのが一般的です。
年賀状を出さない風習はいつから始まったのか
もともと、平安時代後期には年賀状に似た風習が存在していました。
とある貴族がまとめた『往来物』という手紙の文例集に「年賀の挨拶の文例」が数件確認されており、これが年賀状の原型であると言われています。時代を経て郵便制度が整うにつれ、この風習は貴族から庶民へと広がっていきました。
さらに、明治14年に発行された『中外郵便週報』という雑誌に「葉書をもって親戚旧故への年始の祝詞を贈る風習、年々いや増して」という記述があり、この時点ですでに「年賀状」という風習が根付いていたことがわかります。
年賀状の風習が定着してきていた明治30年、英照皇太后(明治天皇の嫡母)が崩御された際、官吏たちが喪に服し「年賀状欠礼」を送ったのが喪中はがきのはじまりと言われています。これが徐々に他の階層にも広がっていき、喪に服しているときは「年賀欠礼」、つまり年賀状を書かないという風習になったようです。
喪中の方へは寒中見舞いで
寒中見舞いは元旦に手元に届く年賀状と違い、お正月気分が落ち着いたころに届くため、喪中の方へのごあいさつとしても適しています。また、喪中と知らずに年賀状を出してしまった方へ、お悔やみとおわびを兼ねて送ることもできます。
寒中見舞いとは
寒中見舞いとは、寒さ厳しい時期にお相手を気遣い、近況を報告する季節のごあいさつのことです。松の内が明けてから立春までの間に送ります。松の内が明けるのは1月8日(関東)、もしくは1月16日(関東以外)で、立春は毎年2月4日ごろです。
立春を過ぎてしまったら、寒中見舞いではなく余寒見舞いとして出します。
寒中見舞いについては、こちらも参考になるでしょう。