お香典には「故人や遺族のために使ってほしい」という助け合いの意味もあります。一方、香典返しは「おかげさまで無事法要を済ませることができました」とお知らせすると共に感謝の気持ちを品物に託して半額を目安にお返しします。
ですから、香典返しも「同じだけお返しする」わけではないのです。ここでは、香典返しの相場目安を場面ごとのご紹介し、失礼にあたってしまうようなタブーについても紹介していきます。
ABOUT US
この記事を監修した人
神尾 里恵子
都内大手百貨店で、リビング商品の販売や仕入れを約20年、ギフトバイヤーとして20年の勤務を経験。
ブライダルフェアやギフトサロンでも、直接お客様のご相談を受けてきた経験も多数あり。現在は培ってきた実績を活かし、多様なシーンで心から喜ばれるギフトの選び方を提案している。
開発にたずさわった商品
「香典返し」の相場は?
香典返しの目安は半額程度となっています。ただし、香典返しの目安は、場面によって変わってきます。下記で場面ごとの相場を紹介していきます。
香典返しの金額ははっきりと決まっているわけではなく「いただいたお香典の半額程度」というのが一般的です。お香典の額もさまざまなので、香典返しもそれに応じて何種類か用意することになります。実際にリンベルが2023年9月に実施したアンケート結果では 、香典の半額程度が相場と回答した方が多数を占めていました。
葬儀までは特にやるべきことが多くて混乱しがちですが、周りの方にお手伝いいただくなどして「どなたにいくらお香典をいただいたか」をきちんと控えておきましょう。
香典返しの「当日返し」の相場の目安は?
本来、香典返しは忌明け(四十九日)を過ぎてから贈るものですが、最近は葬儀当日に香典返しを差し上げる「当日返し」もよく見られます。この場合、いただくお香典の額に応じてというわけにはいきませんから、受付で異なる色の引換券をお渡しし、2~3種類の返礼品を用意するケースが多いです。当日返しの品物の目安は、1万円が目安となっていますが、5,000円の品物を用意する方もいます。
香典返しが「1/3返し」でよいケース
香典返しは半返しが基本ですが、1/3返しでよいケースもあります。どのようなケースが該当するのか詳しく解説します。
一家の主がなくなった場合や幼い子どもが遺族となった場合
一家の主が亡くなった場合や、幼い子どもが遺族となった場合は、香典の3分の1程度を返すか、あるいは香典返しを行わなくても良いとされることがあります。
これは、働き手を失ったことによる経済的な不安や、これから子どもにかかる経済的な負担を慮ってのことです。香典返しをしない場合は、お礼状などを贈って感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
親族や身内による多額の香典は、葬儀に使ってほしいという意味があります。したがって、1/3~1/4程度を香典返しとしても問題はありません。なお、高額になると香典返しとして贈る品物が限られるため、カタログギフトなどを使うのも良いでしょう。お返しの額を明らかにしなくて済むうえに、贈り先さまに故人を偲ぶためのものを好きに選んでもらえます。
高額すぎる香典をいただいた場合
葬儀の足しにしてもらいたいという思いから、親族や会社関係者などから高額の香典をいただくケースがあります。もし、香典返しの倍額以上になるような大きい金額のお香典をいただいたときは、忌明け過ぎにあらためてお礼の品を用意します。予算は「いただいたお香典の半額から、当日返しの分を引いた程度」を目安とするとよいでしょう。
高額の香典をいただいた際のお返しは、カタログギフトがおすすめです。カタログギフトは幅広い価格帯の商品が用意されており、相手に好きなものを選んでもらえるメリットがあります。
地域別で香典返しの相場が異なる場合
香典返しの細かなルールは地域によって異なります。たとえば、沖縄は香典の相場が低く、友人・知人の場合は1,000~5,000円程度が相場となっている地域もあるようです。ほかにも、北海道では香典の金額に関わらず参列者全員に同じ品物を当日返しするケースがよく見られます。
また、かつては関東ではいただいた香典の半分、関西では1/3程度とされていました。基本的には地域ごとのルールに合わせるようにしましょう。
かつては地域によって香典返しの目安が異なっていた時期があります。主に、関東ではいただいた香典の半分、関西では1/3程度とされていました。
ただし、現在は全国各地から参列者が訪れるケースも多く、一概に東西を区分するのも難しくなっています。そのため、一般的には半返しとしておけば差し障りはないでしょう。
香典返しの相場は地域によって異なる?
香典返しの目安や習慣は、地域によって異なります。たとえば、香典返しを受け取る習慣がなかったり、香典の金額を1,000円までとしていたりする地域が実際に存在します。先述したとおり、関東ではお返しの相場は半返しとなっていますが、関東ではお通夜の後に食事を振舞う「通夜振る舞い」と呼ばれる習慣があります。一方、西日本では通夜振る舞いの習慣がありません。香典はこの食事代も考慮されているため、関東の方がやや相場が高くなる傾向があるようです。
対応に迷った場合は、地元の葬儀会社や親族の年長者などに相談すると良いでしょう。
香典返しをしない場合、しなくてもいいケース
香典返しをしなくても良い場合として、主に3つのパターンがあります。
1.弔電やお悔やみの手紙のみをいただいた場合
2.故人や遺族の意志により、香典返しの代わりに寄付をした場合
3.香典返しを辞退された場合
このような場合は、香典返しをしなくても失礼にはあたりません。なお、いずれの場合もご挨拶状やお礼状を送付し、法要が執り行われたこと、及びお礼を伝えるのを忘れないようにしましょう。また、2の寄付を行った場合については、会葬礼状のなかで寄付をしたことを報告するようにします。
香典返しで注意したいポイントやマナー
香典返しの品物選びで注意したいポイント
生肉(精肉)や魚介類などの生鮮食品は宗教的な影響などもあり、古くから避けられてきていました。
ただし昨今では中元・歳暮など定期的に贈るものではないため、贈り先さまの利便性を考えて消費期限の長いものを選ぶという考え方もあります。香典返しでは、消えモノ(お菓子やタオル、洗剤など)を選ぶことがマナーです。消えモノは不幸を残さないという意味があります。
また、お茶や飲み物も定番のひとつですが、お酒は神事などお祝いによく用いられることから、香典返しとしては不向きと見られることもあります。
ほかにも、鰹節・昆布など慶事に使われることの多い
縁起物のお菓子や、派手な色・柄の品物も避けたほうが良いでしょう。
数量に関しても縁起が悪い「四」とならないようにし、複数の品物であれば箱重ねでお返しするようにしましょう。
また、商品券など券面に金額が記載されてしまっている金券類も、金額があからさまになることから、快く思わない方がいることを覚えておきましょう。
香典返しを会社名義で香典を受け取った場合
会社からいただいた香典については、少し注意が必要です。送り主が会社や法人なのか、役職者個人なのか、あるいは社員有志が連名で行ってくれたものなのかによって、香典返しのパターンも異なるためです。会社や法人名義の香典については、福利厚生費として経費で賄っているのが一般的です。そのため、香典返しを行う必要はありません。
一方、社員有志による連名で香典をいただいた場合は、ひとりひとりの香典の額がわかりません。このような場合は個別に分けやすい菓子折りなどを持っていくのが効果的です。忌引き後の初出社時に、直接お礼を伝えるのにあわせて渡すと良いでしょう。たとえば、以下のような言葉でお礼を伝えるようにします。
もし、会葬返礼品やお礼状も直接渡したいのであれば、同じタイミングで揃えるとより丁寧な印象を与えます。
忌引きによって会社や同僚に負担がかかっていたようであれば、後日差し入れなどを行うといった配慮も必要になるでしょう。
注意したいのが、社長などの役職者が名義となっている香典です。生前の故人と深い付き合いがあったなどの理由から、個人的に香典を行ったという可能性があります。このような場合は他に香典をいただいた方と同様に、香典返しを行いましょう。
ただし、役職者の名義であっても、その香典が個人によるものなのか、会社としてのものなのか、判別しづらいケースがあります。たとえば、香典返し相当の大きな菓子折を用意しておき、会社名義の場合はいつでも社員に配れるようにしておく、といった準備をしておくと安心です。
香典返しを連名での香典を受け取った場合
複数の友人による連名での香典をいただくというケースもあります。このような場合は、香典の総額から1人あたりの金額を算出し、その1/3程度の香典返しを個別に行うようにしましょう。連名とはいえ、2人や3人でひとつの香典返しとは考えません。
香典返しの相場の範囲内であれば、品物は香典返しとして一般的なもので差し支えありません。1人あたりの金額が少額となる場合は、小分けにされた菓子などを贈るのでも良いでしょう。たとえ少額の場合でも、相手から香典返しを辞退する意志が示されていないのであれば、何らかの形できちんと行うことが大切です。
ごく親しい間柄であれば、香典返しを直接渡しても問題ありません。ただし、返礼漏れには注意しましょう。連名した友人のうち、誰かが受け取っていないようなことがあっては失礼になります。また、こうした状況が発生する期間をできるだけ短くするためにも、渡すタイミングはできるだけ揃えておくほうが望ましいといえるでしょう。
後から送られてきたお香典はどうしたらよいのか?
後からお香典が送られてきた場合も返礼は必要です。ただし、四十九日法要の書状は使用できないケースがあるので注意する必要があります。また返礼品のお届けは年末年始は避けた方が良いでしょう。
相手別で見る香典返しのおすすめの贈り物
ここでは、香典返しのおすすめの贈り物を相手別にご紹介します。
お身内の方への香典返しにおすすめの贈り物
お身内の方から高額の香典返しをいただいた場合、半返しにこだわらず、受け取った金額の3/1~4/1程度を目安に返礼品を用意しましょう。たとえば、下記の商品がおすすめです。
会社関係の方への香典返しにおすすめの贈り物
故人が会社関係者の場合は、香典の相場は5,000~1万円となっています。香典返しは半返しの2,500~5,000円程度になります。会社関係の方への香典返しには、下記の商品がおすすめです。
お見舞いやお手伝いくださった方への香典返しにおすすめの贈り物
お見舞いやお手伝いくださった方への香典返しにおすすめの贈り物は、下記の3つです。
遠方の方への香典返しにおすすめの贈り物
遠方の方への香典返しでおすすめなのが、下記の3つです。
リンベルでは、香典返しの品物を多数取り揃えております。下記のページからお好みの品物をお選びください。
香典返しで人気がある品物、避けた方がよい品物については下記の記事も参考にしてください。
香典返しでカタログギフトを贈るのは失礼?
カタログギフトは、具体的な金額が記載されてはいないものの、ご予算に応じて価格が細かく選択できるというメリットがあります。金券類のようにもらった方が自由にお好きなものを手にしていただけますので、香典返しとして贈ることは失礼にはあたりません。
また、直接贈ることはタブーといわれる「肉・魚・酒」も、カタログに掲載されていますが、カタログギフトを手にされた方がそれらを申し込むのであればマナー違反ではないという考え方が一般的です。思い出の形は人それぞれ。皆様に、それぞれ故人のことを偲べる品物を選んでいただくというのもいいものではないでしょうか。
香典返しには落ち着いたデザインのカタログギフトを
カタログギフトは、香典返し以外にも内祝いやお祝いなど、さまざまなシーンで選ばれています。香典返しにカタログギフトを選ぶ場合は、見た目がにぎやかではない、落ち着いたデザインのカタログギフトを選ぶようにしましょう。
香典返しにおすすめのカタログギフト
以下のカタログギフトは、見た目がシンプルかつ落ち着いたデザインとなっているので、香典返しにおすすめです。