香典返しにはお礼状を添えるのが一般的ですが、宗派によってお礼状の書き方は異なります。香典返しを贈る際には、故人の信仰を尊重し宗派のマナーにのっとった適切な文体のお礼状を書き添えましょう。
仏教
仏教においては葬儀の際に、故人が仏様の弟子として極楽浄土で往生できるように戒名が授けられます。長らく慣習化されてきた戒名制度ですが、最近では戒名をつけずに俗名(生存中の名前)のまま葬儀をされるケースも増えています。故人に戒名が授けられている場合は前文のお礼の言葉の後、略儀の前に授けられた戒名を記すのが一般的です。戒名がない場合は、以下の例文から戒名の部分を省略すれば問題ありません。
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仏教お礼状 例文(戒名有り)
- 謹啓
時下益々ご清祥のこととご拝察申し上げます
先日の(続柄)(故人の俗名)儀永眠の際はご多忙にも拘わりませず
鄭重なるご芳志を賜りお礼申し上げますお陰をもちまして○月○日
(戒名)
四十九日の法要を相営むことができました
つきましては 供養の印までに心ばかりの品をお送りいたしますのでご受納くださいます様お願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます敬具
神教
神式では「御玉串料」、「御霊前」、「御榊料」のお返しとして、納骨が行われることの多い「五十日祭」の後に「偲草」と表書きをした返礼品に挨拶状を添えてお贈りします。お礼状では永眠にあたる「帰幽」や「御玉串料」といった言葉を用いるのがポイント。仏教用語である「供養」や「ご愁傷様」といった言葉の使用は控えましょう。
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神教お礼状 例文
- 謹啓
時下益々ご清祥のこととご拝察申し上げます
過日(続柄)(故人の俗名)儀 帰幽の際はご多忙にも拘わりませず
御弔詞ならびに御鄭重なる御玉串料を賜りお礼申し上げますこのほど五十日祭並びに合祀祭にあたり偲草のしるしまでに心ばかりの品をお届け申し上げましたのでご受納くださいます様お願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます敬具
キリスト教(プロテスタント・カトリック)
キリスト教には香典返しにあたるしきたりがなく、慣例としてカトリックでは死去後30日目の「追悼ミサ」、プロテスタントでは死去後1カ月目の「召天記念式」の後に「お花料」、「弔慰金」の返礼品をお贈りします。お礼状では永眠にあたる言葉「昇天(カトリック)」と「召天(プロテスタント)」の違いに注意しましょう。
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キリスト教(プロテスタント・カトリック)お礼状 例文
- 謹啓
時下益々ご清祥のこととご拝察申し上げます
過日(続柄)(故人の俗名)儀 (昇天・召天)の際はご多忙にも拘わりませず御弔事ならびに御鄭重なる御花料を賜りお礼申し上げますこのほど(忌日)記念祭を相営むことができました
つきましては 供養の印までに心ばかりの品をお送りいたしますのでご受納くださいます様お願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます敬具
天理教
天理教は神道の流れを汲んでいるため、お礼状にも「御玉串料」や「五十日祭」といった言葉が並びます。ただし、異なる宗派であることに変わりはなく、神教での「帰幽」が天理教では「出直し」となるなどデリケートな部分も。
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天理教お礼状 例文
- 謹啓
時下益々ご清祥のこととご拝察申し上げます
過日(続柄)(故人の俗名)儀 出直しの際はご多忙にも拘わりませず
御弔詞ならびに御鄭重なる御玉串料を賜りお礼申し上げますこのほど五十日祭にあたり偲草のしるしまでに心ばかりの品をお届け申し上げましたのでご受納くださいます様お願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます敬具