真夏の挨拶状である「暑中見舞い」。お相手の体調を気遣うのはもちろん、一服の清涼剤のように感じてもらえるような心配りを大切にしたいものです。この記事では、暑中見舞いの書き方をはじめとした基本的なマナーに加え、残暑見舞いについて、また暑中見舞いにおすすめのギフトを紹介していきます。
暑中見舞いのマナー
暑中見舞いを贈る時期
暑中見舞いの時期は、二十四節気でいう小暑(7月7日頃)から立秋(8月7日頃)前までと言われます。ただし、季節のごあいさつですからあまりに実際の気候とかけ離れているのは考えもの。そこで、お相手がお住まいの地域の梅雨明け以降を目安に送ることが多いようです。
2024年の暑中見舞いは、7月6日または梅雨明け~8月6日(立秋の前日)の期間にお送りしましょう。
暑中見舞いはなんのために贈るの?
暑中見舞いを贈る習慣が生まれたのは、江戸時代であると言われています。お盆に先祖の霊に供える品を持って里帰りをする習慣に由来し、そこから「夏の挨拶状」という形が定着しました。暑さが厳しい時期に、普段なかなか会えない方やお世話になった方へ「健康を気遣い元気でいてほしい」という気持ちを伝えるためのものです。
その後、明治6年に制定された郵便制度の発達とともに内容が簡素化され、挨拶状のみを送る習慣へと変化していき、大正時代には現在の「暑中見舞い」の形となりました。
暑中見舞いとお中元との違い
一方、お中元の起源は中国の旧暦7月15日を「中元」と呼称することに由来しています。
もともと「罪を償う日」として神様に供物を捧げる日とされてきましたが、日本に伝来したのちは、日頃お世話になった方に感謝の気持ちを伝えるために贈り物を渡すという習慣に変化していきました。
お中元を贈る時期は暑中見舞いとほぼ同じですが、具体的な時期は7月初旬〜8月15日の間で、且つ地域によって期間が大きく異なります。お住まいの地域の方に確認をしておくとよいでしょう。
遅くなってしまったら「残暑見舞い」へ
立秋は暑さのピークとされますから、それ以降にお見舞い状を出す場合は「残暑見舞い」となります。一般的には、残暑見舞いは8月中に届くようにするものですが、残暑が厳しい場合は9月に延びてしまっても失礼にはあたらないでしょう。
とはいえ、人によっては「遅い」と感じることもあるようです。遅くとも9月上旬を目安に出すようにしましょう。
2024年の残暑見舞いは、8月7日(立秋)から8月31日の期間に届くように送りましょう。
暑中見舞い・残暑見舞いへの返事は必要?
「暑中見舞い」「残暑見舞い」いずれをいただいた場合でも「礼儀としてお相手と交換するもの」と考え、こちらからも返事を送るようにします。目上の方からいただいた場合は必ず送りましょう。
返事を出すときに気をつけたいのが、お相手に届く時期です。先方からいただいたのが「暑中見舞い」であっても、こちらから返事を出すときは「残暑見舞い」とすべき場合もあります。送る時期を確認する意識を持ちましょう。
暑中見舞いはかしこまらず、楽しんで書く要素を大切に
季節の挨拶のひとつである「暑中見舞い」。ビジネスの関係でやりとりするケースもあるでしょうが、基本的には「必ず出さなければいけないもの」ではなく、「お世話になっている方へ感謝の気持ちを伝えたい」という気持ちのもとに送るものです。
お世話になった方、最近なかなか会えない友人、親しい方…。お相手のことを思い浮かべ、素直に楽しむ気持ちで書いた文章こそ、受け取った方に喜んでいただけるでしょう。
季節感を出しつつ「お相手を見舞う」ひとことを
夏らしくさわやかな絵柄など、季節感にもこだわりたい暑中見舞い。近年では、暑中見舞いにぴったりの限定絵柄の切手も販売されています。
夏ならではの絵柄の切手を貼るなど、細やかな心遣いも忘れないようにしたいものです。
でも、あくまで「厳しい暑さからお相手を心配してお見舞いする」ものだということは忘れずに。「お体にお気をつけください」「ご自愛ください」といったひとことは欠かせません。
喪中の暑中見舞いは問題なし、その分一層細やかな心遣いを
喪中に年賀状を控えることは知られていますが、ご挨拶である暑中見舞いのやり取りは構わないとされています。
ただ、不幸があって間もない場合は四十九日を避けて残暑見舞いとする、華美なハガキは避けておとなしい色柄にするなど、お相手の気持ちに寄り添う気遣いがほしいところです。
自分が喪中の場合、暑中見舞いは出さなくても構いませんが、いただいたお見舞いには返事を差し上げるようにしましょう。
暑中見舞いの書き方と例文紹介
ここでは、暑中見舞いの書き方と例文を紹介します。書くときのポイントを紹介しますので、参考にしてください。
暑中見舞いを書くときのポイント
暑中見舞いの基本的な構成は次の通りです。
- 挨拶
- 時候の挨拶からはじまる主文
- 結びの挨拶
- 日付
- 挨拶
「暑中見舞い申し上げます」または、目上の方には「暑中お伺い申し上げます」と書きます。本文より大きめの字で書いて強調すると体裁が良くなります。句読点は不要です。 - 時候の挨拶からはじまる主文
7月上旬〜8月上旬までの季節を感じさせる挨拶を入れつつ、まずは相手の安否を気遣います。その後、自身の近況について簡潔に報告しましょう。相手に関係のあるエピソードにするとより喜ばれるでしょう。 - 結びの挨拶
「暑中見舞い」の本来の目的である、相手の健康を気遣う文章で締めくくります。 - 日付
具体的な日付は明記せず、「年号 盛夏」と書きます。
では、これらの要素をふまえたシーン別の文例をご紹介します。
【文例1】近況報告を兼ねて
- 暑中見舞い申し上げます
- ようやく梅雨が明け、晴天がすがすがしい季節となりました。いかがお過ごしでしょうか。こちらはおかげさまで、家族ともに変わりなく過ごせております。
- 急な暑さに体調など崩されぬよう、お身体ご自愛ください。
- 令和○年 盛夏
【文例2】引越し・結婚・出産の報告を兼ねて
- 暑中見舞い申し上げます
- 厳しい暑さが続いておりますが、皆さまお元気でいらっしゃいますか。
この度、我が家に元気な男の子が生まれました。先だって無事に退院し、家族みんなで賑やかな毎日を過ごしております。お近くにいらした際はぜひ遊びにきてください。 - これからますます暑さが増すとの由、皆さまのご健康をお祈りしております。
- 令和○年 盛夏
【文例3】コロナ禍で会えなかった家族や友人へ
- 暑中見舞い申し上げます
- 日に日に暑さが増していますが、お元気ですか。毎月女子会で楽しい時間を過ごせていたのがずいぶん前のように感じられます。早く以前のように過ごせるようになるといいですね。
- また会える日を楽しみにしています。お身体に気をつけて、お仕事頑張ってください。
- 令和○年 盛夏
【贈る相手別】暑中見舞いにおすすめの例文
ここでは、暑中見舞いにおすすめの例文をお相手別に紹介します。どのような文章を書けばよいのか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
知人や親戚に贈る暑中見舞いの例文
暑中お見舞い申し上げます
厳しい暑さが続いておりますが、お変わりありませんでしょうか。
私たち家族は元気に過ごしております。
来年の夏は、家族全員でぜひ遊びに行きたいと考えております。
厳しい暑さがしばらく続きますので、熱中症などには気を付けてお過ごしください。
親しい間柄に贈る暑中見舞いの例文
暑中お見舞い申し上げます
毎日猛暑が続いていますが、いかがお過ごしですか?
レジャー施設のクーポン券が手に入ったので、よかったら一緒に行きませんか?
健康に気をつけて猛暑を乗り越えていきましょう!
会社関係に贈る暑中見舞いの例文
暑中お伺い申し上げます
厳しい暑さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
職場では何かとお世話になりまして、心より感謝申し上げます。
暑い日が続きますが、どうぞご自愛ください。
令和◯年 盛夏
先生に贈る暑中見舞いの例文
暑中お見舞い申し上げます
厳しい暑さが続きますが、先生はお変わりありませんか。
おかげさまで社会人としての生活にも慣れてきました。
暑さが続くと思いますので、ご家族の皆様もどうかご自愛ください。
令和◯年 盛夏
暑中見舞いの返事について
暑中見舞いをいただいたら返事を出すのが一般的なマナーとなります。ここでは、暑中見舞いの返事の時期、返事の書き方などを紹介します。
暑中見舞いのお返し、返事の時期は
暑中見舞いは夏の挨拶状であるため、涼しい時期が来る前に返事を出すようにしましょう。立秋前に贈り先さまへ届く場合は「暑中見舞い」として、立秋を越えるようであれば「残暑見舞い」として出すのがポイントです。
暑中見舞いの返事の書き方
暑中見舞いの返事では、贈り先さまからいただいた暑中見舞い、または残暑見舞いに対する感謝の言葉を書きましょう。加えて、贈り先さまが書いた近況報告やメッセージに対し、一言触れると喜んでもらえます。
暑中見舞いのお返しや返事の書き方について下記の記事で詳しく解説しています。こちらを参考にしてください。
残暑見舞いの書き方
先述したとおり、暑中見舞いの時期は7月6日または梅雨明け~8月6日(立秋の前日)、残暑見舞いの時期は8月7日(立秋)から8月31日とズレがあります。残暑見舞いを書く際は、時期のズレを考慮した上で文章を書く必要があります。
ここでは、残暑見舞いを書くときのポイントを紹介します。
残暑見舞いを書くときのポイント
残暑見舞いの基本的な構成は、暑中見舞いと変わりません。その代わりに、気をつけなければいけないのが文章の季節感です。
挨拶はもちろん「残暑お見舞い申し上げます」となりますし、時候の挨拶も、暑中見舞いとは時期がずれるため異なります。また、この時期は体調を崩しやすいことを考慮し先方を気遣う言葉も忘れずに書きましょう。
お相手と共有しているエピソードや、伝えたい近況なども書くとより丁寧な残暑見舞いとなります。
【文例1】近況報告を兼ねて
- 残暑見舞い申し上げます
- 真夏日が続いていますが、お変わりはありませんか。
こちらは、おかげさまで元気に仕事に邁進しております。時世柄なかなかお会いできませんが、落ち着いたらまた美味しいものを食べに行きたいですね。 - 夏の疲れが出やすいこの頃。どうぞ、お身体ご自愛ください。
お会いできる日を楽しみにしております。 - 令和○年 立秋
【文例1】いただいた暑中見舞いへの返事として
- 残暑見舞い申し上げます
- 暦の上では秋になったとはいえ、まだまだ暑い日が続いています。みなさま、お元気でいらっしゃいますか。
先だっては素敵な暑中見舞いをいただき、ありがとうございました。暑い時期の一服の清涼剤のようで、家族みんなで楽しみました。変わらぬお気遣い、感謝いたします。 - みなさま、お身体に気をつけてお過ごしください。
- 令和○年 立秋
暑中見舞いにおすすめのギフトをご紹介
洋菓子
定番の人気商品はもちろん、夏ならではの氷菓子がおすすめです。果物と組み合わせた見た目も華やかなアイスクリームは、夏の暑さも吹き飛ばしてくれそうです。
カタログギフト
贈るものが具体的に決められない時におすすめなのがカタログギフトです。幅広い世代の方に人気のあるグルメ・カタログは、ジャンルはもちろん価格帯も豊富に取り揃えています。
お肉
「大切な方に、感謝の気持ちを込めたものを贈りたい」そんな思いを叶えるのが、上質な「お肉のギフト」です。好みに合わせて選ぶことができる選りすぐりのラインナップが魅力です。