2人きりというケースも多いプロポーズと違って、「結納」は両家の家族がそろって公に結婚の約束をする儀式です。どちらの家族にも記念に残る式になるよう、結納返しについてもきちんと押さえておきましょう。
結納返しとは「女性の家から男性の家へのお返し」
男性の家から女性の家へ、結納品や結納金を持参することはよく知られていますが、「結納返し」はこれに対する御礼の印として、女性の家から男性の家へお贈りするものです。結納品・結納金と同じように複数の品目があり、地方によってもその内容や意匠は違ってきます。ここでは、「関東式」「関西式」における正式な結納返しのごく一般的な例を挙げてみましょう。
結納返しの品目
目録
結納返しの品の内容を記したものです。
熨斗(のし)
本来は「干しアワビを伸したもの」ですが、近年は紙で模したものが一般的です。関西式では鶴の水引飾りをつけます。
御袴料(おんはかまりょう)
「男性の袴(はかま)を仕立てるお金」からきているもので、婚礼準備に充てるためのお金を包みます。お金に代えて服飾などの記念品を贈ることも多いようです。関西式では松の水引飾りをつけます。
子生婦(こんぶ)
成長が早く繁殖力の強い昆布にあやかり「子宝に恵まれますように」との願いが込められています。関西式では見られません。
寿留女(するめ)
長持ちする保存食であり、かめばかむほど味が出ることから「花嫁が永く嫁ぎ先へ留まり、幸せな家庭を築けるように」との願いが込められています。関西式では見られません。
友白髪(ともしらが)
白い麻糸を白髪に見立てたもの。「ともに白髪になるまで夫婦円満に」との願いが込められており、一対用意します。関西式では見られません。
末広(すえひろ)
末広がりでおめでたい「扇子」のこと。白無地のものを一対用意します。関西式では亀の水引飾りをつけます。
家内喜多留(やなぎだる)
宴席の酒肴(しゅこう)に充てるお金のこと。関西式では「酒料」「肴料」に分け、酒料には竹の水引飾り、肴料には梅の水引飾りをつけます。
この他に、家族・親族の名前と住所を書いた「家族書・親族書」や、受け取りの印である「受書」を用意することもあります。
結納の簡略化に伴って結納返しもさまざまに
近年、結納の儀式や記念品が簡略化されるに従って、結納返しにも「熨斗・末広・御袴料(または服飾などの記念品)の3点のみ」や、「記念品のみ」などといったスタイルがよく見られるようになりました。関西では基本的に結納返しの慣習がない地域もあるようです。
結納返しの価格・金額は「結納品と同程度かやや控えめ」に
結納返しはその名の通り「お返し」
結納返しが、いただいた結納金や結納品より見るからに高価ですと新郎となる男性や家族が恐縮してしまいますし、その後のお付き合いにも響きかねません。いただいたものと同程度か、やや控えめな価格・金額にするのが一般的です。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
結納返しの相場やのしの種類について
結納返しを贈るタイミング
本来、結納の後日に改めて新郎となる男性の家へ結納返しを持参するのが正式ではありますが、家同士が遠い場合ですとそれも大変なせいか、最近では「結納と同時に結納返しも済ませる」ケースが多くなっているようです。