日本では、お中元やお歳暮などの贈答文化が根付いています。贈答のルールやマナーは全国共通となっていますが、地域特有の風習も目立ちます。今回は、沖縄地方のギフトマナーや地域特有の風習をご紹介します。
沖縄地方のギフトマナー①お中元・お歳暮の時期
お中元は旧暦のお盆に贈る
沖縄では、お中元を旧暦のお盆である7月13日~7月15日に贈るのが一般的です。新暦と旧暦では1カ月近く時期が異なり、新暦では8月13〜15日前後にあたります。毎年日付が異なりますので旧暦カレンダーなどで確認しておくとよいでしょう。もともと、沖縄はお盆の2日目を「ナカビ」と呼んで、親類縁者の家に贈答品を持参して挨拶に行くという習慣がありました。現代では「お盆(旧暦)にお中元を贈る」というかたちで残っています。
お中元の時期は、地域によって異なります。以下の記事では、地域ごとのベストシーズンと、贈りそびれてしまった場合の対応についてご紹介しています。
お歳暮の時期は12月1日~12月25日
沖縄のお歳暮時期は、12月1日〜12月25日ごろが一般的です。全国的には11月末~12月20日ごろがお歳暮シーズンですから、沖縄の場合は比較的、年末ギリギリまでお贈りできるといえます。ただし、年末年始はなにかと慌ただしいものですから、あまり遅くない時期に手配しておくと安心です。
お歳暮の時期は配送が混み合いますから、早めの手配を心がけておくとよいでしょう。以下の記事では、お歳暮の時期を過ぎてしまった場合の対処法や、水引などの基本マナー、選び方のポイントをご紹介しています。
沖縄地方のギフトマナー②結婚式や結婚祝い
結婚式に持参するご祝儀の金額
友人や同僚からお渡しするご祝儀について、本州は3万円くらいが相場ですが、沖縄では1万円がスタンダードです。沖縄では結婚式の招待客が非常に多いことや、料理が大皿で提供されるなど、コストを低くおさえられることがその理由です。
ただし、1万円がスタンダードなのは、「沖縄在住の方が沖縄で結婚式を挙げる場合のみ」であることは注意しておきましょう。沖縄以外の方が沖縄で式を挙げる場合のご祝儀は、本州の一般的な相場である3万円程度になるケースが多いようです。結婚式の新郎新婦どちらかが沖縄出身だった場合は、念のために沖縄流の結婚式で行うのか、それともリゾートウェディングにするのかを事前に確認しておくと安心です。
結婚式での席の配置は、ご両親が特等席に
本州では新郎新婦に最も近い席(上座)には仕事関係者が座り、続いて友人、親族の順に後列に配置され、ご両親は上座から最も遠い下座に座ることになります。
しかし、沖縄の結婚式では様子がまったく違います。上座にはまずご両親が座り、次に親族、両親の関係者、仕事関係者と続いて、友人席が下座です。
沖縄の結婚式は「余興に始まり余興に終わる」
沖縄の結婚式は「余興に始まり余興に終わる」という方もいるほど、余興に力を入れて楽しみます。多いケースではプログラムに8つも9つも余興を挟み、内容も友人・知人からプロのパフォーマーによる演出まで多種多様です。多くの式場では下座の友人席に近い場所に余興用の舞台があります。
沖縄地方のギフトマナー③独自のお祝い慣習
マースデー
「マースデー」とは、本州で言う出産祝いのことです。「マース」は塩、「デー」は代金を指すので、直訳すると「塩代」ということになります。
かつて、沖縄では生まれた赤ちゃんに魔除けとして塩を贈る習わしがありました。現代では塩の代わりにご祝儀などの金品を「マースデー」としてお贈りします。
ハチアッチー(初歩き)
「ハチアッチー」とは初歩き、つまり、赤ちゃんの初めての外出のことです。生後1カ月ごろに行われる赤ちゃんの行事のひとつで、実家や親戚へのお披露目の日でもあります。
タンカーユーエー
「タンカー」は1歳の誕生日、「ユーエー」はお祝いという意味で、「タンカーユーエー」は1歳の誕生日祝い(初誕生日)を指します。「タンカーユーエー」では家族や親族が集まって、1歳を迎えられたことをご先祖さまに感謝します。
また、お祝いの席では、赤ちゃんの前にさまざまな物を置いて、最初に手にとるもので将来を占います。たとえば、そろばんや電卓に触れれば商売人、本なら学者、お金ならお金持ち、という具合です。
この占いは本州では「選び取り」と呼ばれ、同じく1歳の誕生日祝いに行われます。
以下の記事では、「選び取り」をはじめ、本州で行われる1歳のお祝いについて解説しています。
沖縄の出産内祝いには「命名札」を添える
沖縄では出産内祝いに、子どもの名前が書かれた短冊のし「命名札」を添え、子どもの名前を知らせる慣習があります。中には命名札に誕生日などを記す方もいたりと、繋がりを大切にする沖縄らしい習わしがあります。「命名札」の慣習は沖縄県以外にも、北海道・中国地方の一部・九州地方でもみられるそうです。