厳しい寒さの時期に相手を気遣う季節のお見舞い状「寒中見舞い」は、喪中の方へも喪中の方も送ることができます。
しかし近頃は、年賀状を出しそびれたときや、喪中に新年を迎えた方へ年賀状に代えて寒中見舞いを差し上げるのが一般的になりつつあります。また、喪中と知らず年賀状をくださった方に対して、喪中ハガキではなく寒中見舞いで訃報をお伝えすることもあります。
そこで今回は、多様化している寒中見舞いの中でも、喪中に寒中見舞いを送る際のマナーや書き方について解説します。文例も紹介しますので、参考にしてください。
寒中見舞いとは
寒中見舞いとは、寒さの厳しい時期に相手の健康を気遣うための挨拶状やギフトのことをいいます。最も寒さの厳しいとされる松の内(1月7日頃)が明けてから立春(2月4日頃)までに届くようにします。
しかし最近では、年賀状を出しそびれた際の年賀状の代わり、年賀状への返信、喪中の方への寒中見舞い(年賀状の代わり)、喪中はがきへの返信、喪中と知らず出してしまった年賀状のお詫び、などのケースで寒中見舞いを差し上げることも増えてきています。
寒中見舞いと喪中見舞いの違い
「喪中見舞い」とは、喪中の方へお悔やみとお見舞いの気持ちを伝えるために差し上げる挨拶状や、お線香などの贈りもののことをいいます。
寒中見舞いを届ける時期は松の内が明ける1月8日(1月7日に投函し、8日に届くのであれば構わないとされています)から立春2月4日までとされています。
喪中見舞いははっきり時期が決まっているものではありませんが寒中見舞いよりも前のタイミングである、年内に喪中であることを伝える「喪中ハガキ」の返事として差し上げることが多いようです。
近頃では寒中見舞いも「喪中ハガキ」の返事として送るケースも増えてきています。送るタイミングによって喪中見舞いか寒中見舞いか異なりますので、表書きや文の書き方などに気を付けたい所です。
寒中見舞いは喪中の人に送っても問題ない
年賀状は新年を寿ぐお祝いの挨拶ですので、慶事を控えている喪中の方には差し上げないものとされています。一方、寒中見舞いは季節の挨拶として差し上げるもので、特にお祝いにはあたりません。そのため、喪中の方に寒中見舞いを差し上げることは失礼にはあたらないとされています。
喪中はがきのお返事として寒中見舞いを送るのもOK
普段年賀状でやりとりしている人から新年の挨拶を控えることを知らせる「喪中ハガキ」が来た場合、松の内から立春までの期間であれば、寒中見舞いとして返事して送ることは問題ありません。この場合、「喪中ハガキをいただき、年賀状は控えました」などの旨を含み、出す時期に気を付けて出しましょう。
立春を過ぎてしまった場合は、2月末までであれば「余寒見舞い」として送ることができますが、基本喪中はがきを受け取ったらなるべく早くお返事を送るようにしましょう。
喪中ハガキに対するお返事として出す寒中見舞いの文例
年賀状に代わる挨拶状や、寒中見舞いのお返事として送るのもOK
自身が喪中で年賀状を差し上げられなかった方へは、1月8日以降に届くように寒中見舞いを差し上げると、近況のお知らせなども途切れず安心していただけるでしょう。
また、いつも年賀状でやり取りしているが相手が喪中のために年賀状を送ることができない場合、年賀状の代わりとして寒中見舞いを送ることができます。
松の内から立春までの期間であれば、喪中でなくても年賀状を出しそびれた際や、寒中見舞いのお返事として寒中見舞いを送ることができますので、慌てずにお気持ちを伝えましょう。
喪中の方に誤って年賀状を出してしまったときのお詫びとして送る
喪中ハガキなどのお知らせがなく、お相手が喪中と知らないまま年賀状を出してしまった場合は致し方ないと見るのが一般的です。親しい方で、あらためてお悔やみを申し上げたい場合には下記の文例のように寒中見舞いでお返事をしてもよいでしょう。ただ致し方ないとはいえ、年賀状を出したことへのお詫びのひとことは添えるようにしましょう。
一方、わざわざ喪中ハガキをくださった方へ、喪中であることを失念して年賀状を出してしまうのは、お相手にとってあまり心証のよいものではありません。喪中ハガキを受け取ったらまとめておき、年賀状を作成する際に今一度見返すなどして、うっかりしないように気をつけましょう。
喪中の方から、年賀状の返信をいただいた際のお返事の文例
喪中の方が寒中見舞いを送っても問題ない
寒中見舞いは先に説明した通り季節の挨拶であって、喪中の方が差し控えるお祝いごとにはあたりません。喪中の方が寒中見舞いを受け取ることはもちろん、喪中の方から差し上げることも特に問題ありませんので、年末に不幸があり喪中はがきの発送が間に合わなかった場合や、喪中であることを知らずに年賀状を下さった方へのフォローに用いられることも多くなっています。
喪中はがきを送るのが遅れた際に寒中見舞いを送る
年末に不幸があったなど、年内の相応の時期に喪中はがきを届けることができなかった場合、「寒中見舞い」の形で喪中の旨を相手に伝えることがあります。
喪中はがきを送るのが遅れた際の文例
喪中に年賀状をくださった方へのお返事として寒中見舞いを送る
喪中はがきの手配が間に合わなかった、漏れていたなどの理由で、喪中にも年賀状をいただくことがあります。こうした場合の年賀状を受け取ることは特に問題ないとされています。こちらが喪中はがきを差し上げていないお相手であれば、時期を見て寒中見舞いを差し上げ、その際に喪中の旨をお伝えするとよいでしょう。
喪中に年賀状を下さった方への寒中見舞いの文例
喪中に関する寒中見舞いを出すときのマナー
喪中の方から寒中見舞いを出す場合も、喪中の方へ寒中見舞いを差し上げる場合も、お祝いの挨拶である年賀状とうっかり混同することのないよう、注意が必要です。詳しく見ていきましょう。
年賀はがきはNG
年賀はがきは宛名面まで年賀状用の仕様となっていることがほとんど。通信面が白紙の年賀はがきが余っていたからといって、表書きを「寒中お見舞い申し上げます」とするだけで寒中見舞いに代えることはできません。お年玉付き年賀はがきは、手数料を払えば官製はがきや普通切手に交換できますから、郵便局の窓口で交換するか、別途官製や私製のはがきを用意するようにしましょう。
普通切手を使う
年末年始にはお年玉付きの年賀切手やお年玉賞品の切手シートなど、華やかな切手が出回りますし、近年はアニメやキャラクターをあしらったかわいらしい切手もたくさん登場しています。ただし喪中の方からの寒中見舞いや、喪中の方への寒中見舞いには「お祝いではない」ことを意識して華美な切手は避け、「普通切手」と呼ばれる風景や植物、動物の図案が載った切手を使うようにしましょう。
シンプルなデザインを選ぶ
喪中はがきといえば、寒色中心の色柄を抑えたデザインが一般的です。寒中見舞いもあまり華美なデザインは考えものですが、喪中はがきほど抑える必要はありません。椿の花や雪景色など、冬らしいモチーフの落ち着いた絵柄を選ぶとよいでしょう。心配であれば「寒中見舞い用」として販売されている私製はがきや印刷デザインなどから選んでみましょう。ただし、新年をイメージさせる干支のデザインや七福神、富士山などといった縁起物のモチーフは避けましょう。
寒中見舞いを書く際の注意点
寒中見舞いには「寒中お見舞い申し上げます」などといった冒頭の挨拶文がすでに印刷されているデザインが多く見られますが、本文はお相手に合わせて自書するか、印刷をする必要があります。その際の注意点を見ていきましょう。
頭語と結語を省略し、句読点は入れないようにする
年賀状や喪中はがきなどと同様に「拝啓」「敬具」などの頭語や結語を省略するのが一般的です。句読点はない方がフォーマルとされていますので、寒中見舞いなどの挨拶状では使わないようにします。
縦書きで書く
「寒中お見舞い申し上げます」などの挨拶文が縦書きの場合は本文も縦書き、横書きであれば本文も横書きにするとスマートにまとめられるでしょう。ただ、厳密には縦書きの方がフォーマルとされていますので、礼儀を尽くしたい目上の方へ差し上げるような場合は、あらかじめ挨拶文が縦書きのデザインを選んでおきましょう。なお縦書きの場合、数字は漢数字で書けるとよりフォーマルな印象になります。
賀詞は使わない
「謹賀新年」や「あけましておめでとうございます」といった年賀状によく使われる挨拶文は「賀詞」といい、新年を祝う意味合いがあります。もちろん、お祝いを控えている喪中の方にはふさわしくない言葉づかいです。「新年」、「年始」、「年頭」などであれば特にお祝いの意味は含まれませんので、こちらへ言い換えましょう。また「度々」、「重ね重ね」などの重ね言葉は「不幸が重なる」と見る向きもありますから、使わない方が無難です。