お中元を贈る時期が過ぎたらどうする? 対処法とマナーを詳しく解説

イラスト:表書きを入れる前の熨斗紙を前に悩んでいる男性、「お中元が遅れたから、表書きは『遅参御詫び』とか?」とつぶやくが、後ろで妻が「それはないデショ…」とツッコんでいる

お中元に何を贈るか迷った、お相手の住所がわからなかった、配送の手続きに手間取ったなどの理由で、贈る時期を逃したことがある方もいるのではないでしょうか?

または、思いもかけない方からぎりぎりの時期にお中元をいただき、お返ししようにも間に合わない……ということもあるでしょう。

そこで今回は「お中元を贈る時期が過ぎてから、お中元に相当する贈り物を用意しなければならない」場合の対処法について解説します。お中元を贈る際に押さえておきたいマナーも紹介しますので、参考にしてみてください。

そもそも、お中元とは

お中元とは、お世話になっている方や目上の方に、日ごろの感謝の気持ちを伝えるために品物を贈る習わしのひとつ。「日ごろ」といっても年中いつでもいいというわけではなく、「その年の年始~前半のお付き合いに対する感謝を込めて、その年の後半が始まる7~8月中旬に贈られる」のが一般的です。

お中元の起源は、中国の道教の行事「三元」とされています。1年を「上元・中元・下元」の3つに分け、それぞれの初日を祝うこの「三元」が日本に伝わったのち、お盆のルーツである「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と結びついて贈り物の慣習に発展したと見られています。

まずは、地域ごとのお中元の時期を確認しよう

お中元の時期は全国的には「7月~8月中旬まで」となっていますが、地域によっても異なります。お中元を贈るにあたっては、まずお贈り先の地域のお中元がいつの時期なのかを確認してみましょう。ひょっとすると「自分の住む地域では遅れたことになるけれど、贈り先さまがお住まいの地域ではまだ間に合う」ということもあるかもしれません。

地域ごとのお中元の時期

日本各地のお中元の時期は、その地域が行事ごとに新暦・旧暦のどちらを用いているかといった事情から、概ね次のようになっています。

北海道・東海・関西・中国・四国7月中旬~8月15日
東北・関東7月初旬~7月15日
北陸7月初旬~7月15日(7月中旬~8月15日の地域も)
九州8月1日~8月15日
沖縄旧暦7月15日(2024年は8月18日)まで

この通り、始め~終わりの時期はそれぞれ異なりますが、少しずつ重なっている時期もあります。九州地方や北陸の一部を除く地域では、毎年「7月上旬~15日」にお中元を用意すれば、まず遅れてしまう心配はなさそうです。

お中元を贈る時期が過ぎたときの対処法①暑中見舞いとして贈る

7月15日までにお中元をお贈りする地域では、時期を過ぎるのも他より早くなりますが、そんなときのために覚えておきたいのが「暑中見舞い」です。「暑中見舞い」は、はがきなどでの挨拶状が知られていますが、実は贈り物の名目にも使えるのです。

こちらは暦の上で「秋を迎える」とされる立秋(毎年8月8日ごろ)の前日までに届く贈り物であれば「暑中見舞い」の名目でお贈りすることができます。

暑中見舞いの表書き

暑中見舞いの贈り物の表書きとして一般的なのは「暑中御見舞」です。
目上の方へ差し上げる際は、表書きを「暑中御伺」「暑中御伺い」とすると、より丁寧な印象になるでしょう。

のし紙画像:赤金蝶結び水引の右上に熨斗マーク、水引上中央には筆文字で表書き「暑中御見舞」と書かれている

お中元を贈る時期が過ぎたときの対処法②残暑見舞いとして贈る

旧暦でお中元を贈る地域では、立秋を過ぎた8月15日頃までお中元を贈ることができますが、もし、この8月15日に遅れてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。

秋を迎えてもなお暑さの残るこの時期は、贈り物も挨拶状と同じく「残暑見舞い」として差し上げるようにします。もちろん、7月15日までにお中元をお贈りする地域で、贈り物の用意が1カ月以上遅れてしまった場合にも使えます。

「暑中」の終わる時期が暦で区切られているのに対して、「残暑」が終わるはっきりとした時期は決められていませんが、概ね8月末日までに届くものであれば「残暑見舞い」として差し支えないでしょう。

残暑見舞いの表書き

残暑見舞いの表書きも、暑中見舞いと同じ体裁の「残暑御見舞」が一般的です。
こちらも目上の方に差し上げる際は、「残暑御伺」「残暑御伺い」としたほうが丁寧な印象になるでしょう

のし紙画像:赤白蝶結び水引の右上に熨斗マーク、水引上中央には筆文字で表書き「残暑御見舞」、水引下には「リンベル太郎」と書かれている

お中元を後から贈るときのマナー

9月以降は急いで贈るより別の方法を

9月初め頃までの残暑見舞いであれば「配送が遅れたのかな?」という程度で済みますが、それ以降に届く残暑見舞いは、夏の贈り物としては完全に時期外れになってしまいます。

慌てているとつい「なにか差し上げなければ申し訳ない」と「贈る」ことばかり考えてしまいますが、例えば「涼しくなってきた頃に水ようかんや素麺の詰め合わせが届いて困惑する」といったような状況を想像するとわかりやすいのではないでしょうか。

「厳しい残暑を乗り切っていただけるよう、精のつく飲食物や涼を感じられる飲食物などをお贈りする」という、「残暑見舞い」の名目を果たせなくなってしまっているのです。

こういった場合は無理をせず、年末のお歳暮であらためて贈り物を差し上げてもよいでしょう。すでに毎年お歳暮を差し上げている先であれば、お中元の分の予算をプラスして選ぶようにします。もし、お歳暮など他の機会を待つよりも急いで差し上げた方がよい場合であれば、表書きを「御礼」などとし、季節に関係なく役立てていただける品を選びましょう。

贈り先さまへ一言連絡を入れる

お中元をいただいた方へ時期を過ぎて暑中見舞いや残暑見舞いを配送する、またはそれ以降に御礼の品を配送するといった場合は、品物が届くよりも先に、電話などで「時期に遅れたことをお詫びする」連絡をしておけるとよいでしょう。より丁寧にしたいということであれば、はがきなどで挨拶状を差し上げて、品物を発送した旨お知らせする方法もあります。

また、贈り先さまとの関係性にもよりますが、親しい間柄であればSNSやメールでの連絡でもよいかもしれません。時間がない場合や生活リズムなどが合わず、電話の時間が取れない場合も、簡単な手段でよいので一言連絡を入れておくとよいでしょう。

故人宛にはお中元を贈らないようにする

お中元やお歳暮はいわゆるお祝いの贈り物ではありませんので、基本的には「喪中の方ともやりとりしてよい」とされています。ただし、お中元のお贈り先が「亡くなったご本人」となれば、話が別です。

お中元はお互いが生きている間のお付き合いとされていますから、名目だけであっても故人宛に贈るのは避け、宛先をご家族などに変えるようにしましょう。ちなみにもし、故人だけとのお付き合いで、ご家族とは特にお付き合いがないようであれば、亡くなったことを機にお中元のやりとり自体を終えてもよいとされています。

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